セガを紹介!突撃!体験レポート

セガの様々なサービスを体当たりでご紹介していきます!

レポート第7回
「セガ・ロジスティクスサービス(SLS)」

2018年11月8日 掲載  テキスト by たなくま(sega.jp編集部)

セガグループが誇る機械整備のスペシャリスト「セガ・ロジスティクスサービス(SLS)」の作業現場に潜入してきました!

取材地: 株式会社セガ・ロジスティクスサービス(SLS) 矢口事業所

「セガフェス2018」の様子
セガサウンドコンポーザー光吉猛修も駆けつけ、筐体から流れる自身の歌の入りのBGMをバックに生歌を披露、大いに盛り上がった

今年4月、ベルサール秋葉原で開催された「セガフェス2018」の“名作アーケードゲームコーナー”に設置されていた『デイトナUSA DX』。1994年に稼働したセガの代表作のひとつだ。
当時では破格の50型大型プロジェクタに、実車を再現したハンドル、クラッチ、アクセルやブレーキペダルを備えた巨大な筐体は、あの頃遊んでいた方には懐かしさを、初見の方には目新しさを感じさせ、話題となっていた。当時、手にマメとタコができるまでやりこんだ筆者としては、約20年ぶりに握るステアリングの感触に感動し、身体に染み付いたクラッチレバー操作に驚喜した。

イベント会場やSNS上で、「20年以上前の懐かしいアーケードゲームを現代でまた遊べるとは!」と、多くの感動を呼んだその裏側には、セガグループの株式会社セガ・ロジスティクスサービス(以下、「SLS」)の匠の技と、これまでに培ってきたノウハウの存在があった。

今回は、そんな「SLS」の矢口事業所に潜入し、どういった現場で作業されているのかなど、ベールに隠された裏側ならではの情報をお届けする。

◆物流から中古機ビジネスまで、多岐にわたる「SLS」のお仕事

「SLS」は、アミューズメント施設の総合コンサルタント、トータルサービスを行なっているセガグループの1社。具体的には、アーケードゲーム機の中古機販売、アーケードゲーム機のパーツのサポート、アーケードゲーム機のメンテナンス、さらに貿易事業や物流サービス、あまり知られていないところではドライビングシミュレータの開発も行なっている。

◆千葉県「矢口事業所」へ潜入!

今回ご紹介するのは、そのなかでも「商品メンテナンス課」「商品企画課」のある矢口事業所で、SLS 販売企画部 商品メンテナンス課 佐藤さんにお話を聞いた。

「矢口事業所」の外観。広大な場所の確保が必要ということもあり、長閑な立地
佐藤さん
販売企画部 商品メンテナンス課 佐藤さん
佐藤さん
佐藤さんの案内で施設内を取材することができた

矢口事業所に着くと、40フィートコンテナを乗せた巨大トラックが出入りし、フォークリフトなど重機の駆動音が鳴り響くなか、様々な部材などが運び込まれ活気のある様子だった。
中に入るとまずは広くひんやりとした薄暗い保管所があり、自社製品・他社製品を問わず様々な種類のアーケードゲーム機が各種整備を終え、出荷を待って静かに並んでいた。

トラック
40フィートコンテナを乗せた巨大トラックが出入りする
トラック
届いた荷物を次々にフォークリフトで倉庫へ

この矢口事業所は、かつてアーケードゲーム機の製造が行なわれていた場所で、全盛期は自動車製造のようにゲーム機がラインで量産されていたそうだ。しかし、時代と共に製造の役目を追え、現在の物流と中古ゲーム機の整備という新しい役目を担っているという。

◆広い整備スペースへ、プロの機械整備を目撃!

保管所を抜け、整備スペースへ到着。こちらは一転、明るく作業に適した空間だ。
整備スペースには、メンテナンスに必要な様々な工具や機械がギッシリと備え付けられていて、さながら“アーケードゲーム機の病院”といったところ。
天井には、機械を吊り上げて作業するためのクレーンが何台も設置されていたのだが、これぞまさに製造を行なっていた時代の名残とのこと。今回はお邪魔できなかったが2階には今は使われていないベルトコンベアなども残っているという。

明るく美しい作業スペース

当たり前だが、規格や仕様が異なる様々なゲーム機が同じ部品を使っているわけもなく、運ばれてくる機種ごとに異なった多種多様なパーツが必要となり、またそれを分解するための機材も多岐にわたる。そのため、整備スペース内にはとんでもない数の部品棚や工具棚が並んでおり、初見でかなり圧倒される。
さらには、細かい部分までクリーニングするための清掃用具、塗装剥がれなどに対応するための塗料なども用意されており、ありとあらゆる整備に対応できるようになっている。

社屋
機能的に整理整頓された棚
トラック
整備スペース内には整備中の様々な業務用マシンが点在している

ちなみに、取材当日はクレーンゲーム機『UFO CATCHER 8(2008年稼働)』がまさに整備されており、故障箇所などが修理されると共に動作確認が行なわれ、細部まで新品同様に清掃・メンテナンスされていく流れを見ることができた。『UFO CATCHER 8』は最新の『UFO CATCHER 9 second(2016年稼働)』が市場に出ていることもあり、入れ替えが多いタイミングでもある。

「この機種なら、2、3日あればメンテナンス完了させ出荷できます」とのことで、次々に整備され、仕上がっていく姿は壮観の一言。駆動箇所のメンテナンスはもちろん、ガラスや筐体のクリーニング、塗装が剥げてしまった部分のリペイントによって、新品同然に蘇っていく。

社屋
今日は『UFO CATCHER 8』の整備作業が行われていた
トラック
熟練の職人さんたちにより、一台一台丁寧に、隅々まで整備が行われていく
社屋
クリーニングも行われ、新品同様に蘇っていく
トラック
各種整備・備品確認が終わり、綺麗に梱包され、出荷を待つプライズ機

こうして新品同様に蘇った『UFO CATCHER 8』は、買い取られた店舗でまた現役バリバリの仕事をすることとなる。

佐藤さんに聞いた「今まで一番大変だったゲーム機は?」

メダルゲーム機『ガリレオファクトリー』の筐体

これまでに数々のゲーム機が世の中に登場したが、「これまでで最も苦労したゲーム機は何でしたか?」と聞いたところ、「メダルゲーム機『ガリレオファクトリー(2008年)』が稼働した時は大変でした」とのこと。具体的な理由は筐体のギミックが非常に複雑だからなのだとか。

当時、店舗に納品し、組み立てるだけで一台8時間以上かかったそうで、しかも複雑なギミックが組み合わさって作られているため、発生する動作不良の種類も多種多様。「とにかく、いろんなパターンの対応が必要でした」とのこと。

■新旧あらゆる工具を駆使、「直せるよう最大限努力します!」

ここで話が戻るが、「セガフェス 2018」で話題となった『デイトナUSA DX』。
このような20年以上前のレトロゲームは、今のゲームセンターではなかなかお目にかかれないが、特別なイベントのためなどに今でも整備をすることがあるそうだ。

しかし、古い筐体はすでに説明書や部品が手に入らないこともあるだろう。そのため修理が困難なことも多いのではないか?と思い、「もう直すのは無理だというケースはないのですか?」とストレートに聞いてみた。

その答えは「事業所にある、あらゆる工具や設備を駆使して、直せるよう最大限の努力をしています」とのこと。

レトロゲームのメンテナンスをする場合、まずメーカーが用意した予備パーツなどが無いか確認する。そして、予備パーツが生産終了などの理由でもうどこにも無い場合、既存のパーツを流用できるよう改良したり、さらには自作で一から作ることもあるという。

なるほど、事業所内におかれている機材のなかにあったウチの近所にある下町の工場で見かけるような板金加工用の古めかしい機械は、すでに役目を終えて置いてあるのではなく、今でも古いパーツの復元などに活躍していたのか。
さらに、最新テクノロジーであるコンピュータ制御の加工機や「3Dプリンタ」も導入されており、まさに新旧様々な機械が駆使されることで、「無いパーツは作る」という高度な対応も可能にしているというわけだ。

工具
羽田工場から引き継がれた年代物の機械
電動ではなく体重を利用して部品などを切断する
部品を切り出す機械
部品を切り出す機械
PCで制御されており、図面を読み込ませて使用する
収納棚
小さなビスなどが収納された棚。実はこの棚自体が職人による手作り
3Dプリンタ
昨年導入された3Dプリンタ
小さな部品などを作るのに活躍している

そして、この“作り出す”作業には、技術者の方々のテクニックと、これまでに蓄積されたノウハウあってのこと。時代は流れたのではなく、そこに積み重ねられてきたのだと胸を熱くした筆者であった。

ちなみに余談だが、海外の製品なども取り扱っているため、工場内には電圧の変換器なども用意。あらゆる機種、状況に対応できる用意がされている。

電圧を変換する装置
電圧を変換する装置
電圧を変換する装置
電圧を切り替えると、施設内の電光掲示板に現在の電圧が表示される

■取材陣大興奮!レトロゲーム機が並ぶ宝島!もちろん整備済!

そして、「セガフェス 2018」で人気だった『デイトナUSA DX』と再びご対面!

工具
「もちろん整備済ですよ」とビニールを剥がしてくれる佐藤さん
工具
分かりやすく感動を表現する取材陣

せっかくなのでと、筆者たち取材陣が仕事を忘れて楽しくデイトナで遊んでいると、事業所のメンテナンススタッフさんが「もっと○○を使って直したい」「でも、○○を使うと良くなるけど、当時の“らしさ”が失われる気がする……」と我らがプレイしている後ろで意見を戦わせていた。
「ただ直すだけでなく、プレイヤーが当時の感覚で楽しめるか?」「あの頃の感動を再び味わえるか?」といったユーザー目線でメンテナンスをしているのだと知り、だからこその究極的なメンテナンス技術なのだと、目から鱗がぼろんぼろんこぼれ落ちた思いだった。

工具
感覚を思い出しながら、ドリフトにチャレンジする取材陣
工具
こちらは『THE HOUSE OF THE DEAD3 DX』。銃の重さが懐かしい
工具
『バーチャレーシングTWIN』。抜きつ抜かれつの白熱の展開に真剣になる二人
工具
「これも遊べますよ」とテーブルゲームをパカっと開けてくれる佐藤さん

当時のゲームを最新の液晶モニタやLEDを使って再現した「最新技術版」を目指すならばむしろ簡単かもしれないが、逆に多くの手間がかかろうとも、「当時のまま」を追求し続けるSLSのプロフェッショナルたちには頭が下がる思いだ。
ブラウン管など、今となっては入手も困難だろうが、あの味わいはレトロゲームならではだろう。

レトロゲーム機の整備は、安易に最新の技術でサイボーグ化するのではなく、可能な限り当時のままの命を再び吹き込むまさに奇跡的な“メンテナンス”なのだということを、筆者は声を大にして伝えたい。

潜入の模様をぜひ動画でもご覧ください♪

■訪問を終えて

ゲームセンターのゲーム機やクレーンゲーム機は、毎日多くの方が入れ代わり立ち代わり遊んでいくため、どうしてもパーツの破損やトラブルが発生することがある。また、長年愛されて稼働していたゲーム機も、中古で買い取られた時にはボロボロで、塗装が剥げ落ちたり、外装が壊れてしまっている場合も少なくないだろう。

しかし、毎年さまざまな新機種が発売され、次々に種類を増やしていくアーケードゲーム機は、直す手間もかなりのもの。さらに、それが体感型筐体など巨大なものや、十数年前のレトロゲームになると、難易度も跳ね上がる。
そういったゲーム機たちを直し、再び遊べるようにメンテナンスして世に出しているのが今回お邪魔した「SLS」だ。

ゲームセンターでお気に入りのゲームが毎日トラブルなく稼働しているという事は当たり前ではなく、日々のメンテナンスがあってこそなのだと感謝しつつ、それはそれとしてこれからも楽しくガッツリと遊びたいと思った次第である。

そしてまたいつかどこかでレトロゲームで遊べる奇跡に立ち会いたいものだ。
ゲームは本気で遊んでナンボ!
『デイトナUSA DX』は、やっぱブレーキガンガン踏んで、ステアリングをガシガシ回してドリフト決めてローリングスタートからの爽快感を楽しまないと!


私共「SLS」は仕事上なかなかエンドユーザーの皆さまとお顔を合わせることがありません。
しかし私共スタッフは、機械整備にあたり、故障個所だけでなく、外装の剥がれなど危険な所はないかにも気を配り、常にお客さまの安全を考えて作業に取り組んでおります。
弊社はアミューズメントマシンやプライズ景品類の物流や設置・修理メンテナンス、皆さまも利用されておりますおしぼり・景品袋などの商材を取扱い、トータルな店舗運営のサポートを行っております。
皆さまの街のアミューズメント施設に行かれた際は、様々な形でSLSもお店のバックップをさせていただいていると思い出していただければ幸いです。

(株)セガ・ロジスティクスサービス 佐藤