インタビュー・大岡良樹

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“ゲームの神様”降臨

─  大岡さんは、プログラムのどの部分を担当したんですか?


■  僕のやったのはこの中のザコ敵の全プログラムとテストモード。ユーザーには目に付かないでしょうが、テストモードのプレイヤー履歴のグラフ表示はこだわりました(笑)

プレイヤー、ボスキャラ、メインのシステムを、僕の上についた人がプログラムを組んでくれてね。ゲームシステムの外枠がしっかり組まれていたので、僕はその中でいかに敵キャラのAI(的確な思考や“暴走したゲイングランドシステム内の敵”という壊れたような動作)を作るかに専念できました。

といってもまともにゲームキャラのプログラムを担当したのは最初だったので試行錯誤の連続だったけど。

─  プログラムした中で、お気に入りのキャラっていますか?

■  実はグラフィックとしては覚えてないね。自分にとって、このゲームの「敵」っていうのは“思考ルーチン”だとか“プログラムのきれいさ”でしかなかったから。

敵のAI

「見た目が人間っぽいキャラは、やっぱり雰囲気作って動かさないと。賢そうに動かないといけないかな、というのはありました。」
■  当然デザイナーからキャラデータをもらって、1つ1つのコマに分解してアニメーションのプログラムを組むんだけど、アニメーションの見栄えよりキャラの動きのほうが表現的にユーザーに伝わりやすいと感じたので、どういったタイミングで1ビット1ビットの調整フラグ変えて、そいつがどう動くのか……なんか自分で歯車仕掛けのおもちゃ作ってる感じでさぁ、プログラム組んだ自分でも判らない動作が時々起こるのが楽しくって(笑)

こんな分岐プログラムを作ったとかパラメータを大きく割り付けたら面白くなった、とかなら結構覚えている。

─  敵キャラのプログラムには、かなりの時間をかけたんじゃないですか?

■  うん。思考ルーチンとして、どうすれば汎用的なAIプログラムを組んで個別に調整できるだろうかと何度も試行錯誤を繰り返したのね。例えば、障害物があった時、敵はきれいに迂回しながらプレイヤーに向かって行かなければならない、敵同士が同じプレイヤー狙ったときにダンゴにならないようにどうするか……そういうことをネチネチネチネチやっていたら、完成まで1年3ヶ月かかった。

今じゃ許されないだろうけど、当時は初めてのプログラムだからって周囲も寛容で……(笑)

─  当時の制作期間と比べてみるとそれは長いですね(笑)

乱数じゃゲームなんか作れないよ

「企画の人はAIでやってくれと言っていたけど、“発生頻度は乱数”という言葉もちらほら出てきて、『全くの乱数じゃゲームの調整なんかできないよ』とよくケンカしていましたね。」
■  最初の9ヶ月では2ラウンドしかできなくて、僕が考え込んじゃって進まなかったから……。横では『獣王記』が終わって、『エイリアンストーム』に掛かっていたチームリーダーから、「出来上がっていて隠してる」と勘繰られるし…。それで時間がなくて省いた部分があって…(笑)

本当は“古代”、“近世”、“中世”、“未来”の他に、“現代”というゲームセンターとかある時代があったのよ。(メガドライブ版には現代面が収録されているが、内容はまったくのオリジナルと言ってもよい)

はじめはアーケード版も50〜60面構想でやってたんだけど、あまりにも僕の仕事が遅いため、現代面を省いたんだね(笑)。企画者の(現代面の)マップも3ステージぐらいしかできてなかったし、敵の設定もなかったから、“待つより止めちまえ”で全40面で打ち切り命令がでちゃった(笑)

さすがに「ここらで終えろ」と、締めを切られて必死になって、確かラウンド4の“未来”は3日3晩フル徹夜で仕上げたと思う。アニメーション表現の複雑な敵も少なかったし。

─  もしかして、そんな状態でプログラムしているから、4−8のようなバグが出たんじゃないですか?(笑)

メガドライブ版『ゲイングランド』

メガドライブ版の現代面。
アーケード版の企画書には…


 [ラウンド4]
 時代設定−現代
 敵の種類−兵士、戦車等
 主な武器−銃・機関銃・
      大砲・手榴弾等


これ以上は書かれていない。
■  あれは1回修正してセーブしたんだけど、マスターアップの時にリンクし忘れたんだねぇ(笑)。チーム全体がキツイ状態だったから見落としちゃって……。

でも、その頃になってくると“ゲームの神様”が降りてきて、体は気を失っている間にも意識だけは仕事をしていたのでセーブしたのが勘違いだったのかも……?

余談だけど、さすがに徹夜も2日目超えると指の間とか身の周りで“白いムニュムニュさん”が這い廻ってるのが見えるようになるんだよ。

……毛虫みたいな、エクトプラズムのような……何ともいえないものが見えるようになるんだねぇ。

─  白いムニュムニュさんの話は置いといて…(苦笑)。4−8のバグを修正したバージョンがあるとのことですが?

ムニュムニュさん

4−8のバグを作ったのは実はムニュムニュさん!?
■  3Pバージョンは慌てて修正版をリリースしましたが営業的に支障ないからってバグバージョンのままで流通、その後の2Pバージョンでは修正されたバージョンだけです。

─  『ゲイングランド』をやり込んでいる人たちの間では、この4−8のバグがあったからこそドラマティックな展開になったと言われていますが……。

■  正直、偶然だね。ラストのボスだって、ザエモンで倒せると考えてなかったし……(笑)

※ディップスイッチをいじることによって、3Pバージョンも2Pバージョンとしてプレイすることができる。このため3Pバージョンか2Pバージョンか、見た目でわからない時は、4−8に行くしか見分ける方法はない。

■  みんなチマチマ苦労してやるんだろうなと思っていたら、ユーザーさんは竜巻一発で倒してるよって伝え聞いて、さっそく試すと「うわぁスゲェ、できるんだ、あ、ハマッたよー!」とスタッフ一同が感心したよ。

ある程度の自由度を枠に収めて作ってしまえば、その中で勝手にルールは生まれるもんなんだなと、しみじみ考えたねぇ。

─  そのあたりが『ゲイングランド』の魅力になってくるんでしょうか?

■  プレイヤーによって敵を倒していく戦術は千差万別だし、タイミングやポジションが少しでも変わると敵は違った動きをする。この「クセがあっても型がない」というか、予測のつかない奥の深さが『ゲイングランド』の一番の魅力だと思うよ。その意味では想像した事は表現できたんじゃないかな。
最終ボスを一撃

ザエモンの竜巻が最終ボスの足の間で跳ね返り、あっという間にボスを倒すことができる。


『ゲイングランド』制作スタート

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『ゲイングランド』3人同時プレイ?