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トレジャーの作品は全体的に難しいなんて話も聞きますが、『ガンスター』に関しては、単純に「難しい」っていうのは違うと思うんですけどね。難しくないですよ。もしも難易度イージーで遊んで「難しい」と言ってるのだとしたら、ちょっとピンとこないですね。私はトレジャーのなかで、ゲームは一番下手な方ですが、『ガンスター』は余裕でクリアーできますから……。まぁ、エキスパートは厳しいですが……。
ただし、『エイリアンソルジャー』は、最初から「メガドライバーズカスタム」で作っていますので、あれを難しいというのは当然です。どこが「スーパーイージー」なんだ、と(笑)。ふざけるな、と(笑)。
……もしかしたら、難しいのではなくて、ゲームに不親切な部分があるのかな、と考えたことはあります。
たとえゲームオーバーになっても、次はなんとか行けそうだと思えば、ユーザーは難しいと思わないはずなんです。『ガンスター』では、ゲームオーバーになった時、コンティニューポイントはやさしめに設定されていますし……。イージーならば、コンティニューすれば、普通にクリアできると思いますね。
ちなみに、『ガンスター』は難易度を変更することによって、ボスの攻撃方法や変形パターン数が変わったりします。難易度を変更することで、敵の防御力がアップしたり、ダメージ量が変化したり……そのあたりのバランス取りだけじゃなく、難易度イージーだったら弾の吐き方をプレイヤーめがけて撃たなくするとか、凶悪な攻撃をしないようにするなど、そういう部分から調整しなくちゃならないんと思うんです。
……でも、どこまで調整できるかは、プログラマーのこだわりと、時間(締切)との戦いになるので、なかなか難しいものはありますよね。難易度調整にも時間はかけたいけど、それよりも全体の制作の方が先だし……。うーん、難しいですね(笑)。
また、エンディングまでのプレイ時間が短めなので、「ボリューム感がない」なんて話もあるんですが、これで本当にボリューム感がないのかな? って思うんですよね。100時間遊べるゲームと、ある種アーケードゲームのように30分気持ちよく遊んでもらう『ガンスター』のようなタイプのつくり方って、全く違うので、エンディングまでの時間だけを単純比較されても困るんですよ。特に営業等の方から、どんなゲームでも「このゲームはエンディングまで何時間?」って聞かれるのは、理不尽だと思いますね(笑)。
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そういったいくつものこだわりこそが「トレジャーらしさ」だと思いますが、全タイトルを並べてみて、前川さんの考える「トレジャーらしさ」って何でしょうか?
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『ダイナマイトヘッディー』では、私はプログラムを担当していました。海外版を制作することになったのですが、米国ではゲームが簡単だと売れないという話で、「難しくしてくれ」と言われて喜んで調整したのを覚えてます。米国にはゲームのレンタル制度があって、レンタルでエンディングまでいっちゃうと買ってくれない…なんて言われて「本当かよ」と思ったんですが、難しくするならいくらでもやりましょうと、相当きつくしてみました。「難しすぎるから売れない」という話は聞くけど「簡単すぎるから売れない」…。セガ・オブ・アメリカの意向もあり、たぶん日本版の倍くらい難しいです。
アメリカと日本の、ゲームにおける難易度のとらえ方の違いについては「名作アルバム『エコー・ザ・ドルフィン』」長谷川亮一氏のインタビューでも触れられている。また「ガンスターヒーローズ」「ダイナマイトヘッディー」「エイリアンソルジャー」の3タイトルは、PS2「SEGA AGES 2500 Vol.25 ガンスターヒーローズ ~トレジャーボックス~」で、現在もプレイすることが出来る。(海外版も収録)
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