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あとは表に出てこない部分だとカメラワークかな。海外のゲームはカメラの動きが激しいので、人によっては酔ってしまうこともあるんです。そういう時はスクロールスピードを変化させる、などして対処します。

それから倫理観の違いでグラフィックを書き換えることもあります。例えば『ファイナルファイトCD』で、日本版では道ばたにお酒のビンが落ちてるけど、海外ではソフトドリンクに変更されたりとか、道の脇でタバコを吸ってる奴のタバコがなくなったり、ニューハーフキャラのやられアクションで見えていた下乳がシャツが長くなって見えなくなったり(笑)

後は、“十字架”や“ダビデの星(六芒星)”など宗教的なシンボルは確実に描き換えられてますね。
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そもそもなぜローカライズという作業をしなければならないんでしょうか?
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言葉を分かるようにする、というのは当然として、先ほど説明したようにまずは日・米・欧でのグラフィックの好みですよね。まるで違いますから。

それから、やっぱり難易度も変えなくちゃならないですね。当時から良く「海外のゲームは難しい」と言われていますが、ただ難しいというだけじゃなくて、実は“exploration”に対する認識の違いという問題があるんですよ。
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アメリカやヨーロッパでは、ほとんど何も情報やヒントがない状態で何かを探し回るのが楽しいんですって。「あれも試した、これも試した、でも先へ進めない……あっ、これだったらどうだろう?……進めた、ヤッター!」という達成感。その“exploration”(≒探索、調査)自体をゲーム性として捉えているんです。

なにせ海外のユーザーは、なかなかクリアできない方がコストパフォーマンスがいいと思っている部分があって、買ってすぐにクリアできちゃうとメーカーが怒られるくらいですから(笑)

だけど、同じ“exploration”でも、日本だとヒントがないとゲームを投げ出してしまう人が多い。「ヒントねぇよ、何もねぇよ、わかんねぇ」とゲーム雑誌見たり、今なら攻略サイトで解答を見て「そんなもん、わかんねぇよ!」と結局、放り出してしまったり(笑)

……日本での“exploration”は、ストレスになってしまうんですね。だからナビゲーションや、ヒントの出し方も変えてあげなければならないんです。
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長谷川さんがローカライズを担当した作品(日←→米)

[GENESIS(メガドライブ)]

・ecco THE DOLPHIN
・ecco THE DOLPHIN II
・Power Rangers
・SHINING FORCE 2
・Virtua Fighter 2

[GAME GEAR(ゲームギア)]

・Power Rangers
・G SONIC
・THE LOST WORLD
・TEMPO Jr.

[SEGA CD(メガCD)]

・NIGHT TRAP
・JURASSIC PARK CD
・ROBO ALESTE(電忍アレスタ)
・YUMEMI MYSTERY MANSION (夢見館の物語)

[SEGA 32X(スーパー32X)]

・ステラアサルト
・メタルヘッド
・バーチャファイター 32X

[SATURN(セガサターン)]

・Baku Baku(ばくばくアニマル )
・NiGHTS
・SEGA RALLY Championship
・Shinobi Region(新・忍伝)
・THOR(レジェンド・オブ・トア)

[ARCADE(アーケード)]

・THE HOUSE OF THE DEAD
・DAYTONA USA 2

[PlayStation]

・クラッシュ・バンディクー3
・スパイロ・ザ・ドラゴン

[PlayStation 2]

・ジャック×ダクスター
・ラチェット&クランク
・怪盗スライ・クーパー

─ 他 多数タイトルを担当。

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