インタビュー・長谷川亮一

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リプレイコミック「長谷川さんとエコー・ザ・ドルフィン」








■  実は『エコー』のパッケージには秘密があるんです。

こちらでは「頭に5つの斑点をもつイルカ」となっていますが、こっちのパッケージには「頭に7つの斑点をもつイルカ」と書いてあるでしょう?

……初期ロットのものだけ「7つ」になっているんです。

─  本当だ! イラストも違うんでしょうか?
……あ、同じですね。


■  イラストは、初期も後期も同じですね。イルカの頭に斑点は5つ。テキスト部分だけが違うんです。ちなみに、取り扱い説明書ではどちらも「5つ」になっています。

─  「5つ」が正しいんですよね?

■  そうです。

─  なぜ、初期ロットでは「7つ」だったんでしょうか?

■  うーん、理由はよくわかりませんが、パッケージをつくってくれたデザイン設計部の誰かが『北斗の拳』の大ファンだったのではないでしょうか?(笑)

─  話は変わりますが、『エコー』って、どのくらい売れたんでしょうか?

■  欧米では50万本オーバー、日本でも7万本くらい売れました。当時はラッセンの絵や、イルカセラピーなどが注目され始めた頃。その恩恵かもしれませんが、『エコー』は当時のイルカのムーブメントのひとつとしていろんなメディアで取り上げられました。

……そういえば、吉田戦車先生の『はまり道』という4コマ漫画(当時週刊ファミ通にて連載)でもネタにされましたねぇ(笑)
パッケージ

初期パッケージ(7つ)

後期パッケージ(5つ)

下が修正された後期版パッケージ。
頭に7つの傷をもつイルカ・・・
(傷ではなく“斑点”です!)

─  確かに『エコー』が発売された当時は、ヒーリングやイルカが注目された時代でしたね。

■  今で言う“癒し”ですね。

当時のムーブメントのなかで特に有名だったのは、ジョン・C・リリー、ベッツィ・A・スミスという博士です。イルカの持つ治癒力とか知性を研究したり、イルカと人間が会話できないかという研究をしていました。イルカの声の入ったCDを販売していたので、けっこう覚えてる方も多いのではないでしょうか。

「人間の社会がどんどん荒廃していくなかで、自分たちがわからなくなっている。そんななかでイルカに教えを乞うのもありなんじゃないか」「人間はおごり高ぶるのをやめて、イルカの声を聞くべきなんじゃないか」……とまで言っていた時代。イルカにそういったものを求めるのが全世界的なムーブメントだったんです。

だから、『エコー』のようなぶっ飛んだストーリーでも、違和感なく受け入れられたんじゃないでしょうか。SFというより、スピリチュアルな部分で漠然とイルカに求めているものがあったんじゃないかな。
最終ボス、ボルテックスのクイーン

最終ボス、惑星ボルテックスのクイーン。仲間を探しに旅に出た一匹のイルカが、最後には地球の運命を賭けて戦う…ぶっ飛び過ぎです。
─  最後に、長谷川さんにとって『エコー・ザ・ドルフィン』とは何ですか?

■  『ECCO THE DOLPHIN』……実はですね、最初はずーっと「エッコ」と呼んでいたんです(笑)

だから、企画書にも『エッコ・ザ・ドルフィン』と書いていました。同じ部署だった人たちも皆「エッコ」と呼んでいたのに、最終的に会社が「エコー」と決定したときはショックでしたねぇ(笑)

「えー、エッコの方がかわいいじゃん! なんだよエコーって!」とか文句言ってました(笑)

今でこそ「エコー」で馴染んでますけど、当時はワタシ的にスゴイ違和感があって、みんなが会議の場で「エコー」って言ってるのに、私はひとりで「エッコ」と言い続けていました(笑)

「エッコ」の方がかわいくないですか?

イルカのエッコ。イルカのエッコ。イルカのエッコ……。

それは置いといて、『エコー・ザ・ドルフィン』は、やっぱり私の原点ですね。ゲーム制作者・長谷川亮一の方向性を決定づけたもの、です。最初にこのタイトルを担当させてもらえて、本当によかったと思っています。どうでも良い話ですが、いまだに当時の先輩(の一部)からは「イルカ君」って呼ばれてるんですよ(笑)
長谷川さん

『エコー』は、今でも担当できた事を誇りに思えるゲームです。

2004.4.6 セガ取材室にて  



おいしそうなタコ

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おもいでがいっぱい(読者からの投稿メールより)