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ちなみに最初に製品になったのはSG-1000の『チャックンポップ』で、その後マーク3、ゲームギア、サターンなど、全てのセガハードで僕のディレクションした作品が世に出ています。
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数多くの作品をディレクションしてるわけですが、今回は『SDI』に焦点を絞ってお話しを聞こうと思います。まず『SDI』をマーク3に移植しようと思った“きっかけ”は何だったんですか?
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当時の社内の流れが、「セガから出たアーケードゲームはすべてコンシューマーに移植するゾ」みたいな風潮だったんですね。それで『SDI』を移植する順番がたまたま僕のところに回ってきた感じ。それだけです(笑)
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アーケード版の特殊な操作形態、画面いっぱいに現れる数多くの敵キャラなど、移植に関しては、さまざまな困難があったと思うんですが……。実際に移植の作業って、どういう手順で行われていったんですか?
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当時の移植って、(アーケード版の)ソースを解析して移植するってのは一切なくて、ホントに“目移植(め いしょく)”。耳で聞いたとおりに楽器を演奏したりする“耳コピ”っていう言葉があるけど、ゲームの移植の場合は“目移植”。目で見たとおりに再現していくんですね。
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“目移植”について、もう少し詳しく説明してください。
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うん。当時アーケードのゲームをコンシューマーに移植するとき、大抵は資料とか仕様書も何もないので、まずはアーケードゲームをやりつくすのが“目移植”における最初の仕事……(笑)。で、自分の机の横にアーケードの筐体置いて1日中ずーっとやってる。エネミー(敵)の出現位置とかアルゴリズムも、目で見て、メモして、再現していく。それで仕様書に落としていく。これが“目移植”。
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なるほど。でも1日中ずーっと『SDI』ですか…(笑)
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とにかく“目移植”するためには、エンディングまで見なければ話にならないわけ。だから1日中、机の横の『SDI』をやるわけなんだけど、やっぱり上司からは「なんでゲームばかりやっているんだ!」ということになるわけですよ。……話はそれますが、そこでちょっとした閃きがあって(笑)。ネームエントリー画面で名前を入力する時にAさんの名前を入れることにしたんですね。僕以外の人もみんな机の横には筐体があったわけだけど、ネームエントリーではAさんの名前を入れることにした……。それで、すべての筐体のあらゆるタイトルのハイスコアがすべて“Aさん”になって、それを見た上司が「なんでAはこんなにゲームばかりやっているんだ!」って。Aさんだけが怒られた(笑)。……そんなふうにしながら『SDI』は作られました。
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長谷川さんがディレクターを務めたゲーム
[SC、SGシリーズ]
・ボンジャック
・ロックンボルト
[セガマーク3]
・テディボーイブルース
・ファンタジーゾーンII オパオパの涙
・忍 SHINOBI
[MASTERSYSTEM]
・Golden Axe
・Altered Beast
・Ghouls and Ghosts
[メガドライブ]
・北斗の拳 -新世紀末英雄伝説-
[ゲームギア]
・アックスバトラー ゴールデンアックス伝説
・アイルトンセナ スーパーモナコGP2
・ソニックドリフト
・The GG忍
・ガンスターヒーローズ
[セガサターン]
・電脳戦機バーチャロン
─ 他 多数タイトルを担当。
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[長谷川さん秘蔵写真 その2]
1992年、ゲームギア版『アイルトン・セナ スーパーモナコGP2』制作中に来日した故アイルトン・セナ氏と長谷川さん。
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