インタビュー:むっちゃん(ディレクター)

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差し替えられたボスたちの秘密(その2)

─  ……なんで魚と亀なんですか?


■  まぁ、海っぽいじゃん、全体的に。だから「水にいるものにしようよ」っていうことで、だいたいのイメージをデザインに発注したのね。

─  どんなふうに発注したんでしょう? ラフスケッチでも描いたんですか?

■  いや、言葉で。"魚"は「魚にしてくれ」って頼んだ。"亀"はね、「亀にしてくれ」と頼んだ。亀、好きなので(笑)。でも、こういう形でこういう色で出てくるのは、想像できなかったねぇ。

─  魚や亀の珍妙な攻撃方法は、誰が考えたんですか?

■  考えたのはプログラマー。「こういう攻撃どうですか?」ってプログラムしてきたものに僕が意見を言ったり、プレイしたことない人にいきなりやらせて難易度を調整したり。

ゲームの難易度と言えば、当時は銀座の博品館へ行って、抜き打ちで"フォーカステスト"っていうのをやっていたんだけど……これはお客さんとして来ている普通の子供達をつかまえて、完成前のロムで遊んでもらってアンケートを取るのね。面白かったかどうか、難易度はどうだったか、どこまで進んだか、そういうことを調査して、ゲームの難易度を決める手がかりにもしてたねぇ。

─  じゃあ、ネーミングは誰が?

■  企画の僕、プログラマーふたり、デザインふたり、サウンドひとり……全部で6人で会議やって、みんなで名前のアイディアを持ち寄って決めたよ。多数決で(笑)。グレートストロングなんとかトットとか……。

─  ……!? ちゃんと"魚"の正式名称を覚えてますか?

■  っていうか、今、言えなかったじゃん! だから覚えてるのは“グレートストロングなんとかトット”なんだよ(笑)。とにかく長ーい名前のストロングなんとかトットは、デザインのサブの人が持ってきた名前……だったと思う。

─  ウルトラスーパービックマキシムグレートストロングトット

■  そうそう、そんな感じの名前(笑)。えー、こっちの亀の名前は覚えてません。決めたのは僕だけど、この名前を誰が持ってきたのかは、覚えてない……。

─  dz・デノ・ローマ

■  そうそう!

ウルトラスーパービックマキシムグレートストロングトット

セガマーク3版4面ボス
「ウルトラスーパー……トット」

上下の歯と飛ばして攻撃してくる。舌が弱点。

dz・デノ・ローマ

セガマーク3版6面ボス
「dz・デノ・ローマ」

背中の甲羅を放物線状に降らせてくる。頭が弱点。
─  姿が亀…名前が"dz(ドジ)・デノ・ローマ"……元ネタはやっぱり……「スチュワーデス物語」…なんですか?

■  ピンポーン! ピンポンピンポンピンポーン!(笑)

─  ちなみに『ファンタジーゾーン』という世界のなかで、亀と魚が出てくることは……何というか色んな意味で「OK」だったんでしょうか?(笑)

■  うーん、今でこそちゃんと『ファンタジーゾーン』の世界観っていうのは決まってるんだろうけど、当時、まだアーケード版がリリースするかな、しないかなって頃から作りはじめてる人間にとってはそんなのなかったんだよね(笑)。マーク3版のエンディングに出てくる英語のメッセージも僕が日本語で書いて英訳してもらったくらいだし。

─  さて、それではここでインタビューの方は一時中断して、むっちゃんには『ファンタジーゾーン』を実際にプレイしてもらおうと思います。

■  げっ、マジ!?

「スチュワーデス物語」
1983年~1984年:大映テレビ・TBS


一人前のスチュワーデスになることを夢見る松本千秋(堀ちえみ)の奮闘を描くドラマ。村沢教官(風間杜夫)とのやり取りの中で登場した台詞、「私はドジでのろまな亀です」は当時の流行語にもなった。


差し替えられたボスたちの秘密(その1)

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リプレイコミック「むっちゃんとファンタジーゾーン」