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■川崎さんのこだわり ―― これはインストラクションカードですよね。しかも直筆! 川崎■この『フリッキー』のインストラクションカードは1日で仕上げたものです(笑)。当時は社内にカラーコピー機もなかったから、わざわざJR蒲田駅前の印刷会社までコピーをとりに行くんです。ここはナムコも使っていましたねぇ。 ―― あ、なにかがおかしいと思ったら、タイトルが……。 川崎■ふふ、よく気付きましたねぇ。これはよく見ると『FLIPPY』になっていますよね。アメリカで商標の問題でNGが出て、語感で『FLICKY』に変更になったんです。 ―― はぁー、なるほど。 川崎■ネーミングがらみの話でいえば、蒲田のセガ直営のゲームセンターの名前が「フリッキー」になったこともありましたね(笑)。 ―― おぉ、それはスゴイ(笑)。 川崎さんは『フリッキー』以降はどんなゲームのデザインをしていたんですか? |
▲『フリッキー』のインストラクションカード。 よく見るとタイトルが『フリッピ-』に……。 |
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川崎■『フリッキー』の後は『チャンピオンボクシング』(*1)や『忍者プリンセス』(*2)のデザインをしました。ちなみに『チャンピオンボクシング』はSG版の出来が良かったので、アーケードに逆移植したんです。工場でロムを製品化するのに3ヶ月くらいかかるのでアーケードの方が先にでたかもしれませんが。 ―― またもや歴史が上書きされました。『チャンピオンボクシング』はアーケードに逆移植、と。メモしておきました! 川崎■余談ですが私は、キャラクターを“殺す”事が嫌いなんです。一貫してプレイヤーは死なない、ENEMY(敵)もそうです。だからENEMYもプレイヤーもどうやってやられるか、その“消し方”にこだわりました。フリッキーも死んだりしないし、忍者プリンセスも手裏剣や刀で切られても死ななくて、確か座って泣いてますし、敵の忍者や悪玉ボスも実は死んでない。クリアすると最後は舞台でくるみ姫とみんなで踊ってるんです。 ―― 言われてみれば、なるほどそうですね。 川崎■その頃のゲームセンターのイメージが悪くて、死ぬとか、殺すとかそういう要素を排除して『フリッキー』を出したんです。その後につくった『忍者プリンセス』や『三輪サンちゃん』(*3)もみんな同じイメージです。 みんなが親しみやすい世界にしよう。セガだって可愛いゲームを作れるんだぞという気構えでした。 ―― そこに川崎さんのこだわりがあったんですね。 |
*1)『チャンピオンボクシング』 サイドビューのシンプルなボクシングゲーム。プログラムは鈴木裕氏。アーケード版。SC/SG版。ともに1984年発売。 *2)『忍者プリンセス』 くるみ姫が8方向手裏剣や忍術を使って、敵を倒していくアクションゲーム。アーケード版は1985年、MK3版はその翌年に発売。 ▲敵忍者の手裏剣が当たり、泣き出してしまう『忍者プリンセス』の主人公くるみ姫。 *3)『三輪サンちゃん』 三輪車に乗ったサンちゃんを操作して、迷路(全100面)のなかの花をとっていく。アーケード用。1984年発売。 |
■これも川崎さんのデザインだ! 今回のお話に出てきたゲームのキャラクターはもちろん、セガのカレンダーや暑中見舞い、年賀状なども川崎さんがデザインしている。
ちなみにゲームズ博士は川崎さんがCAIという教育用コンピュータの取扱説明書のために描いたもの。いつのまにやら全機種用のゲームの取扱説明書でアドバイスをしていたらしい。ちなみにモデルは特にいないとのこと。 |
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