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■『どきペン』の企画書を眺めながら ―― よくこんな18年前の企画書が残ってましたね! 小口■本当だねぇ(笑)。 ―― すごく細かい! ペンギンやタマゴのドット絵もあるし(笑)。 小口■企画の人間が16×16のドットを埋めていって描いていた。その頃は完全に分業化されていなくて、デザイナーに言っても全部やってくれなかった。「手あいてたらやってよ」って言われて、「ペンギンはこの目、もう1ビット消しでしょ」とかやってた(笑)。 すげ~、ひさびさに“フェアリー”見ちゃった。 ―― キャラのネーミングも小口さんですか? 小口■この“アデリー”と“フェアリー”は俺が名前つけたわけじゃなくて、昔はマニュアルだけ書いてた人がいて、その人が考えてきてたんだと思う。“フェアリー”っていう発想が俺にはないからね。俺のなかにはいまだにそういう言葉がないから、俺がつけたんじゃないことはわかる。 “ペンタ”だったら、つける可能性はあるけど(笑)。 ―― じゃ、タイトルは? 小口■タイトルは当時のTV番組で『わくわく動物ランド』っていうのがあって、それが頭の片隅にあった(笑)。 ―― ルールの設定も細かい指示でびっしりですね。 小口■企画書もね、本当に細かいところまで書いた。 ほら、「敵のパンチを受けたときに、4セル飛ばされ、約1秒間コントロール不能になる」って書いてある。そういう指示も企画がやってたし、ゲーム中もそのまま再現されてるでしょ。 「タマゴと岩石は押せる。障害物があった場合はその位置で停止」 「なおかつ、必ず横になって停止しろ」 「ブロックとブロックの間はには不都合があるので、絶対に停止しないでくれ」 「タマゴの転がりは8パターンで。(でも容量が足りなかったら4パターンでもいいよ)」 ほら、デザイナーにスプライトパターン伝えるのに、「歩きは2パターン、すべりが1で左右があって、全部で28枚必要」……あ、スプライトの整理番号まで企画が作ってる! ……要はここまで企画がやらなくちゃいけなかったんだよ。それがスゴイよね。 ―― それは企画した人にもよるんじゃないですか? 中さんは企画書らしいもの書かないでプログラムしていったとか話されてましたし……。 小口■うんうん、逆に言っちゃえば、俺はプログラマーにならなかったので、自分でできないからね。変にされちゃ嫌だから、これだけ注文が多いんだよ。 トータルとしてパズルになってるんで、たとえばタマゴひとつ変な風に動かされると、パズル成り立たなくなるじゃん。だから、こういうように指示してるんだと思う。 プログラムの勉強は、入社して3ヶ月くらいはみんなで研修してZ80かなんかのアセンブラをやってたんだよ。弾を撃って、オブジェクトに当たって、当たり判定して、そのオブジェクトを消して、点数を上げるくらいのところまではやったね。 だけど性格的に企画のほうがいいやって。自分の意志で作れるからって当時は思ってて「俺は企画に行く」と言ったんだよね。 ―― なるほど。 小口■あ、ボツったゲームの名前があった。……『ペンギン村はラブ戦争!』 わははは、この時からすでにフェアリーいるじゃん。ストーリー的には彼女のところへ行くっていうのはあったんだ。 ―― どちらもゴールで女の子が待っているんですね(笑)。 小口■いや、目的はわかりやすいほうがいいからね(笑)。 |
▲今から17年前の企画書がきちんと保存されている。こんなところにも小口さんの几帳面さと愛(『どきペン』に対する)を感じる。 ▲もちろん初公開の『どきペン』の企画書。 キャラは何度も書くのが大変なので、コピーして切り貼りしています。 ▲これがボツになった『ペンギン村はラブ戦争!』の企画書の表紙。 ▲右端にはフェアリー、左端にはシロクマの姿も確認。 というか、これはホントに……似ていますね(笑)。 |