——CMも、さまざまなタイプのものが10本以上流れましたよね。

川越■大内君をはじめとする宣伝部隊といっしょに考えたことは、シリーズものを販売していくのはすごく大変ということ。日本のゲーム業界では、シリーズものしか売れないなんてよく言ってるけど、シリーズものを前作より販売数を下げないことって、とても大変なことなんです。

『サカつく』 はシミュレーションタイトルなので、アクションゲームやアドベンチャーゲームのように、新しくなったことをアピールしにくいんですよね。 アイコンやインターフェースのデザインが変わっていても、そのボタンをクリックしてチームを育てる、というゲーム性自体は前作と変わらないわけで……。

見た目なんか特に、サッカーを舞台にしている以上、大きく変わったように感じないでしょ? 例えば、サッカーフィールドの緑色が赤になるわけでもないし、ジャンプ台ができたりするわけでもない(笑)。確実に面白く変えているんだけど、どう変わったのか、ユーザーにアピールしにくいんだよね。だから、シリーズものといってもなおさら大変で(笑)。確実に面白くしてるのに、それをどうやって伝えたらいいのかな? って。

だから、毎回リサーチはかなり綿密に行うんです。そのリサーチの結果、今回は短期間に何種類ものTVCMを流したり、ベンゲル監督を起用するなどのプロモーション戦略を立てていったんですけど。

——プロモーションのキャラクターにベンゲル監督を選んだ理由も聞いていいですか?

川越■今回は選手を起用しようとは思っていなかったんです。外国人がいいかな、なんて思っていた。アブラモビッチもいいかな、なんて思ったり(笑)。

そんなふうに、外国人のなかで候補をあげていた頃、ベンゲル監督率いるアーセナルは、三冠(FAカップ、プレミア、チャンピオンズリーグ)の可能性があったんです。5月24日にチャンピオンズリーグで優勝して、その1ヶ月後に『サカつく'04』が発売だったら、こりゃいいなと思ったわけです(笑)。

もちろんそれだけが決め手じゃありません。「自分のクラブこそ、男のロマン。」 というのが、今回のキャッチコピーなのね。僕はユーザーに、とんでもなく強いチームをつくるだけが 『サカつく』 じゃないし、勝ち負けだけじゃないよと、よく言ってるんだけど、ベンゲル監督もそういった 『サカつく』 の理念みたいなことを常日頃から話してるんですよ。

ベンゲル監督には 「クラブの流儀が大切なんだ」 という言葉があって、監督としても有能だしフットボールを語るのにもいい言葉を持っている。


日本代表監督の待望論もあったくらいだし、今回のイメージキャラクターはベンゲル監督かな、と。そう考えて、ベンゲル監督にお願いしたんです。

——最後に、川越さんにとって、 『サカつく』 って何でしょう?

川越■うーん、難しい質問ですね(笑)。
ひとことでは言い表せないけど、僕らが小中学校でサッカーをやっていた時の 「世界のサッカーへのあこがれ」 があったから、 『サカつく』 が生まれたんだと思うのね。だから、今回の 『サカつく'04』 のオープニングで使用した曲も、
当時夢中になって観ていたTV、 『ダイヤモンド・サッカー』 (※注1)のオープニングテーマ曲である 『Drum Majorette(ドラムマジョレー)』 を使ったんです。ビジュアルも変にCGを使わずに、"スローフットボール" みたいな感じを押し出しながら、当時誰もが持っていた「世界のサッカーへのあこがれ」のような雰囲気を出してみました。
※注1:1968年にスタートしたサッカー情報TV番組。金子勝彦氏 (現・サッカージャーナリスト) と岡野俊一郎氏 (元日本サッカー協会長) の名コンビが人気を集め、日本に海外サッカーを紹介する窓口的な役割を果たした。

小中学校時代に 『ダイヤモンド・サッカー』 を観ていた人間なら、実況の金子勝彦さん、解説の岡野俊一郎さんの 「ヨーロッパでは地域に根付いて、サッカーを中心としてスポーツを文化として普及させていく」 という言葉をずーっと聞かされてきているでしょ?

もちろん、Jリーグ発足当時に川淵チェアマン(現、キャプテン)が同じことを言うう前から、ずーっとです。それは 『サカつく』 のなかでも活かされている思想ですよね。

ちなみにオープニングムービーのラストに登場するオーバーヘッドキックは、 『ダイヤモンド・サッカー』 のオープニング映像でクラウス・フィッシャー選手がオーバーヘッドキックをしているシーンと重ねてみていただければな、と。これ、サッカー小僧や昔からのサッカー通には、刺さるところだから(笑)。

僕の選手としてのサッカー人生は高校最後の試合でけがをして終わってしまったけど、今は 『サカつく』 をつくり、それがみんなの元に届いている。……そう考えると、僕のサッカー人生の半分は、『サカつく』 だよ(笑)。

そういう意味で、 『サカつく』 は"僕のサッカー人生の集大成"なのかもしれませんね。



PS2 『J.LEAGUE プロサッカークラブをつくろう!'04』
発売日:2004年6月24日  価格:6800円 (税込7140円)
ジャンル:スポーツ育成シミュレーション
● 『サカつく'04』 公式サイト
● 『サカつく'04』 製品説明ページ

● セガダイレクト 『サカつく'04』

次回の 「SEGA VOICE」 は、『シャイニング・フォース 黒き竜の復活 』 について、プロジェクトマネージャーである竹崎さん開発プロデューサーの下里さんのおふたりに、話をうかがいます。ゲームシステムから、物語まで、 『シャイニング』 シリーズの魅力について語ります。名作シリーズのひさびさの新作、読んでから遊ぶか !?  遊んでから読むか !? 


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