segavoice VOL8『ダビつく4』という情熱
最強馬をつくるために
——馬にはそれぞれたくさんのパラメータが設定されているわけですが、それをつくるのは大変な作業だったんじゃないですか?

宮崎■ うーん、これは大変な作業です。オグリキャップ1頭のデータを決めるにも、例えばスタッフ間でも 「もっとスピードはあるんじゃない?」 とか 「スタミナはそんなにないでしょ」 というように、馬に対する評価は人それぞれですから。

でもね、ソフトの開発は分担作業だから、基本的にパラメータづくりは企画のO君が担当しました。もちろん客観的に馬を評価して、パラメータをつくるのが大前提なんだけど。
……O君は "エイシンバーリン" という馬が大好きなんですね。……O君はみんなに気づかれないようにいつの間にか "エイシンバーリン" のパラメータをいじって強くしているんですよ(笑)。それに気づいた別のスタッフが慌ててパラメータを下げるんだけど、またいつのまにか強くなっている……。その繰り返し (苦笑)。

ある日、雑誌社でのプレゼンで、ランダムに馬を選んだ時、この "エイシンバーリン" も入ってたんですね。嫌な予感がしたんですが、……東京の1600メートルで "サイレンススズカ" をぶっちぎっちゃうんですよ!  ありえねーだろ!(笑) ま、僕も 『ダビつく2』 の時、"アグネスタキオン"のパラメータを秘密で上げたことあるんだけどね……(苦笑)。

でもね、まじめな話をすればパラメータをつくることも大変だけど、「どういうパラメータを持っていたらレースでどういうパフォーマンスが出せるのか」 ……それを表現することが大切

——それはどういう意味なんでしょうか?

宮崎■ 『ダビつく』 には、一頭の馬ごとに4大能力と言われている、「スピード」、「ステイ」、「スタミナ」、「パワー」と、それ以外にも 「根性」 とか 「音反応」、「右回りが得意」「荒れ馬場が得意」など、たくさんのパラメータが設定されています。

そういった様々なパラメータを持つ馬が、「芝の短距離を走った場合」、「ダートの長距離を走った場合」、「雨が降って外を回った場合」、「ダートで内側につつまれて、最後の最後で根性を発揮して馬群を突き抜けた場合」 などのいろんな条件下で、これらのパラメータが"馬の個性"としてどのように表現されるのか。
そこが開発者側が一番苦労するところであり、一番面白いところなんですね。

——なるほど。パラメータは「スタミナがあれば長距離が強い」とか、そんな単純なものではないんですね。

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宮崎■ そう。そんな単純なパラメータだったら、スタミナがあったら長距離も中距離も短距離も、どこ行っても強い馬になっちゃうでしょ。その矛盾を解消するために、「短距離のレースではスタミナの意味が変化する」 ように設定していくんですね。でも、この作業には正解がないので、試行錯誤の連続……。バランスを取るのは、本当に難しいし、いつも時間をかけて調整している部分です。

——今までの話を聞いている限り、宮崎さんでも最強馬をつくるのは難しそうですね。最後に、簡単に最強馬をつくる方法があったら、教えて欲しいんですが……。

宮崎■ ……簡単になんて、つくれるわけがない(笑)。

最強の馬は頭数から産まれるんですよ。千頭の馬をつくった人より、1万頭の馬をつくった人のほうが強い馬を引く可能性は十倍高い。最強馬をつくるには、いかにたくさんの馬をつくるか、コツはこれだけ。

ただ、一頭しか馬をつくってない人が、1万頭の馬をつくった人より、たまたま強い馬を引く可能性は、ゼロではないんです。…… 『ダビつく』 シリーズは、強い馬に強い馬を掛け合わせると強い馬ができるという、割とシンプルな原則があるんですね。弱い馬に弱い馬を掛け合わせると弱い馬になる。だけど、それは原則であって、もしかしたら化け物のように強い馬が産まれる可能性もあるということです。確率はものすごく低いんだけど…

photo だから 『ダビつく』 の熱いユーザーは、最後に強い馬を引くために、その手前の種牡馬とか繁殖牝馬にこだわっていくわけです。
「血統表のこの位置にいる繁殖牝馬は、このような血統を持ってなくてはいけなくて、最低でもこういう能力じゃなきゃいけない」 と最初に目標値を決めるでしょ。あとは、その確率の低い強い馬を引くまで何頭も何頭もつくるんです……。

化け物のように強い馬を引くまで繰り返して、一頭引いたら1段階終了。次はこの馬に他の馬をかけて、同じ作業を繰り返す……やがて2段階終了。
……ヘビーなユーザーさんの中には、『ダビつく4』 が発表された時、まだ『ダビつく3』のエンディングを見ずに、この作業を続けていた方がいた。「いやぁ、三代目で終わっちゃったよ!」 だって(笑)。



——そういう遊び方をする人もいるんですね。

宮崎■ 本質は、馬をつくって、人それぞれの目標に向かってプレイすること。それがエンディングであってもいいし、最強馬でもあってもいい。楽しみ方は自分のペースでいいんです。『ダビつく4』は、長くじっくりと遊んでほしい。

『ダビつく4』 は、今までの 『ダビつく』 シリーズに比べて、インターフェースも親切なつくりになっているので、まだ 『ダビつく』に触れたことのない人にも遊んでほしいです。
データを持ち寄っての対戦も面白いので、ぜひ周りの人といっしょに楽しんでください。
その、みなさんのプレイを次回作にフィードバックする形でシリーズを続けていけたらいいなぁと思っています。




製品情報
PS2 『 ダビつく4 ダービー馬をつくろう!』
発売日: 2004年12月2日  価格: 6,800円 (税込7,140円)
ジャンル: 競走馬育成シミュレーション
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