――次に、シルエットを用いたデザインについてお話を聞かせてください。

吉永■ 実は、会社に入って初めて書いた企画が、シルエットの女の人を踊らせるゲームだったんですよ。「動き」 というのは目の情報ですが、色づかいというより、動きと効果音などで表現できるゲームはできないだろうかとずっと考えていたんです。でも、企画会議等で 「シルエットでゲームをつくりたい」 と提案すると、たいがい画面映えしないから駄目と一刀両断されてしまうのが普通なんですよね……。

だから、今回は、シルエット表現にさまざまな仕掛けを施して、見た目にも驚きがあるような画面づくりを心がけました。例えば、2Dで描かれているように見えるキャラクターが、実はポリゴンで描かれていて3Dでなめらかに動き出したりする。シルエット表現をしているので、一瞬だと2Dか3Dかわからないんですね。シルエットであることを逆手に取っているんです。

――色づかいも、オレンジをベースとした暖色系が基調ですよね?

吉永■ このゲームの画面写真を見たとき、一発で 『きみしね』 だとわかって欲しかったんです。このゲームだけしか使わない色づかいにして、雑誌で一枚でも写真が掲載されていたら、すぐに 『きみしね』 だってわかるようにしようとデザイナーに相談しました。それで暖色系のこのような感じの画面になったんです。

――1970年代を思わせるような、とてもおしゃれな画面ですよね。

吉永■ そうですね。絵だけ見ると中身が想像できないけど、やってみると楽しくてくだらなそうな要素がたくさん入っている。そういうくだらなそうなものをやる時に、インターフェースデザインもマヌケにしてしまうと、品が無いかな、と……。やっぱり 「おしゃれ」 と 「くだらなそう」 のギャップで、両方がひきたてあうんです。

僕としては、『スペースチャンネル5』 の時もそうだったんですが、そのギャップを入れてゲームを構成するのが、なんとなく好みなんです。

――そういう意味では、あの一度聴いたら耳から離れないテーマ曲は、おしゃれなのかマヌケなのかわからないくらいインパクトがありますね(笑)。

吉永■ 『きみしね』 の公式サイトでも流れている、あのテーマ曲はセガ・クリエイティブセンター(旧ウェーブマスター)の幡谷尚史さんが作曲しています。

実はこの企画を考えた時から、音楽は幡谷さん以外にはないと思っていました。
スペチャンの時もそうだったんですが、幡谷さんはゲームに合わせてフレキシブルに曲をつくってくれるんです。ゲームの機能性を満たしつつ、芸術性の高い曲をつくってくれる。
この両方を満たしているサウンドクリエイターはなかなかいないので、やっぱり幡谷さんはスゴイなと思うわけです。今回は、「一回聴いたら一生忘れられない曲をつくってください」 とかなりワイルドな発注をしたのですが、本当に 「一回聴いたら一生忘れられない曲」 が出来上がりました。

―― 『きみしね』 をプレイしてみると、音楽がかなり大切な要素に思いました。

吉永■ そうですね。曲も含めたゲームデザインになっているので、曲がないと面白さも半減してしまうんです。ゲームのテンポが曲に集約されてるんですね。

曲に関してはセガ・クリエイティブセンター (旧ウェーブマスター) の南波真理子さんや、ジングルはササキトモコさんにもお願いをしています。効果音やジングルも面白いですし、『きみしね』 をプレイする時は、絶対に音を出して遊んで欲しいですね。

――例えばどんな効果音があるんですか?

吉永■ 金魚を吐き出すゲームがあるんですが、幡谷さんに 「金魚の鳴き声」 の効果音をお願いしたんです。そしたら幡谷さん、「えー」 って言いながらも、金魚の鳴き声をつくってくれたんですね。聞いてみたら、なるほど確かに金魚が鳴いたらこんな感じだろうなという効果音に仕上がっていた(笑)。

幡谷さんは王道の音楽ももちろんできるんだけど、わざとおバカな感じというか、普通とちょっとズラしたような感覚を意図的にもてる方なので、そのあたりが僕と芸風にあっているのかな、と。……とにかく音が面白いです。電車の中で遊ぶ時もヘッドフォンは必須ですね(笑)。


――『きみしね』で、吉永さんが一番こだわった部分ってどこなんでしょう?

吉永■ 物語のシチュエーションにしても、操作形態にしても、他のゲームと同じことはやらないというこだわりが僕の中にあって、『きみしね』 にしかあり得ないものを探し求めたつもりです。それが先ほども述べたように、シルエットであったり、普段聴かないような音楽であったり、奇抜なストーリーであったり……。

普遍的なもの、一般的なものに埋もれないように、ちょっとずつ切り口やアプローチを変えて、みんなが考えないようなシチュエーションをつくっていく努力はしています。ちなみに吉永的には、一番最初にプレイヤーにやらせたかったのは、実は 「金魚を吐かせること」 だったりするんですが(笑)。

直球とか変化球よりは、魔球かボークでぜひ!」 というスタイルで、いつもゲームをつくっていきたいです。……会社が許してくれるかぎり(笑)。

――ところで、開発チームには女性も多いと聞きましたが。

吉永■ 多いですね。僕としては、ニンテンドーDSに初めて触れた時の感触を、女の人に初めて触れた時の感触としても表したかったんです(笑)。なので、少しお色気のあるシーンもある。

女性スタッフの意見は、特に、女の人がやっても不快感がないような女性表現をするために、すごく役に立ちました。ちょっとドキッとするシーンに、歯止めをかけてくれたし……、と言っておきます(苦笑)。

――最後にメッセージをお願いします。

吉永■ 『きみしね』 は、お店でも友だちのでもいいから、まずはさわってほしいんです。持って歩けるので、居酒屋などでも延々と遊んでほしい(笑)。体験するのが一番なんです。「さわる」 とか 「吹く」 って、実際にやってみなければ伝わりにくいものですから。

きっと異性の肌に、はじめて触れた時に似た感触がすると思います。



ニンテンドーDS 『きみのためなら死ねる』
発売日: 2004年12月2日  価格: 4,800円 (税込5,040円)
ジャンル: タッチアクション

● セガダイレクト 『きみのためなら死ねる』

 

次回、12月2日の 「SEGA VOICE」 は、人気の 『ダビつく』 シリーズ最新作である、PS2 『ダビつく4 ダービー馬をつくろう!』 の宮崎浩幸プロデューサー (「宮ちゃん」 でおなじみ) が登場。前作からのパワーアップポイントはもちろん、競馬ゲームの魅力について、思う存分語って頂きます。


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