……そういう意味で、百鬼丸は未完成な存在なのかな、と。でも、未完成な存在だからこそ、なんだかんだ言える余地が残っているでしょう? 十人いたら、十通りの百鬼丸の解釈ができるわけです。今回は、沙村先生に大幅にキャラクターをリメイクしていただきましたが、百鬼丸のクールさが全面に出た解釈をしてくださいました。
さらに、百鬼丸には 「魔神に奪われた48の部位 (体) を取り戻す」 という目的がありますよね。だから、48の部位を取り戻していくことで、百鬼丸自体がパワーアップしていくというアドベンチャー要素が最初からあったわけです。
——アドベンチャー部分の物語も、手塚先生の原作に忠実なんですか?
今枝■ みなさんご存じの通り、原作である漫画の 『どろろ』 は未完で終わっています。しかし今回ゲーム化するにあたり、セガとしての回答を用意しなければ!と思いました。……基本的には原作の 『どろろ』 をなぞっていますが、きっちりと物語に決着をつけています。
——原作にない部分のストーリーは、あらためて創作したんでしょうか?
今枝■ 原作で、その後の展開をにおわせているシーンや自分たちからは消化不良に思えた部分があったんです。それらをふくらませてストーリーをつくっていきました。だから、原作をよく知っている方にも、違和感を感じることがないストーリーができあがったはずです。
沙村先生も、もともと原作のファンだったこともあり、かなり力の入ったストーリーボードを描いてくださったと思います。原作の設定やストーリーをいかしながら、いまの時代にしかつくれない 『どろろ』 をあたらしく作り上げることができました。
反面、原作にあるような 「憎しみ」 など情念のドロドロした部分や、「親が子を売った」 ような設定は、今の時代のゲームとして、取りあげることは避けることになりました。ですので、百鬼丸と父親との関係も少し変わってきています。
——原作では、魔神は48体登場しませんが、ゲームは登場しますか?
今枝■ もちろん登場します。それぞれの魔神に、バリエーションが欲しかったので、かなりの数の魔神を前田真宏先生に描いてもらい、その中から48体を選んだんです。魔神以外にも巨大なボスたちや道中の妖怪などもいるので、合わせて百体以上のデザインをお願いしました。前田先生も 『どろろ』 が好きということでノリノリで描いてくれたんですが、その時期、前田先生を拘束するのは業界的にはとんでもないことだったみたいです…… (汗)。
|