—— 『シャイニング』 シリーズは、過去に十作以上ありますし、これからも続いていきますよね。下里さんの考えるシリーズ共通の"シャイニングらしさ"って、どういうものでしょう?

下里■ 『シャイニング』 シリーズは、どれをとっても、とっつきやすくて遊びやすいし、ストーリーや戦闘もサクサク進む。こういった"とっつきやすさ"と"サクサク感"は、『シャイニング』 シリーズとして絶対に継承していかなければならない部分だと思っています。

それから 『黒き竜の復活』 のキャッチフレーズ 「まだ見ぬ仲間が君を待つ」 に象徴される"仲間との出会い"。いろんな仲間をチョイスして、その仲間の特性にあった戦い方をユーザーが繰り広げていく面白さ。これらがシャイニングらしいところであり、シャイニングのいいところなんじゃないかなと思います。


—— 『黒き竜の復活』 の"とっつきやすさ"って、具体的には何ですか。

下里■ 例えば戦闘のシーンでは、他のシミュレーションRPGに比べると初心者でも難しいことを考えずに遊ぶことができるシンプルなつくりになっています。
具体的には、地形に高低差がなく、側面や背面からの攻撃力の差がないなど、戦略的に複雑になりがちなものを排除しています。
ある意味、任天堂さんの 『ファイアーエムブレム』 のような、一手一手をじっくりと考える"詰め将棋的な"シミュレーションRPGとは対極に位置するものだと考えています。

——"サクサク感" を出すために、どのような工夫をしたんでしょうか。

下里■ もともと 『神々の遺産』 は面白いゲームだったんですが、"サクサク感" を追求して遊びやすくなればもっといいゲームになると思ったんです。 例えば、"サクサク感" を出すために、かなり細かい部分まで手を加えています。
敵の思考を高速化したのはもちろん、アイテムのまとめ買いができるようになったり(笑)、回復魔法を使うときには自動的に体力が一番少ないキャラに照準が合うようになっています。
他にもこのような見えない部分での小さな変更点はたくさんあって、これらの "親切設計" も "サクサク感" を出すためには大切な要素だと思っています。


▲シミュレーションの新要素として、"カード"を使用できる新キャラ、キョウカQが加わり、さらに遊びやすく,なった。

 

▲メガドライブ版ではチェックできなかった、成長グラフを確認することができるように。かなり便利。

——今回の 『黒き竜の復活』 は、初心者にかなり優しい設計になっているんですね。

下里■ もちろんです。でも、初心者からマニアまで楽しめるように追加した要素もたくさんあるんですよ(笑)。

例えば、クリアボーナス。戦いをうまく組み立てて、一定ターンでクリアするともらうことができるのがクリアボーナスです。獲得できなくても不利になることはないけど、うまい人にはご褒美を用意させていただきました(笑)。

それからもともと各キャラクターには、早熟とか晩成といった成長具合のパラメータがあったんですが、メガドライブ版ではユーザーには見ることのできない数値でした。それを今回は 「成長グラフ」 という形で、表示することにしました。
例えば、洗濯係をしているケンタウロスのアーサーというキャラクターがいるのですが、はじめは戦闘に連れて行ってもまったく役に立たない……。ユーザーが何にも情報を知らないと、たぶんそれからのアーサーは二軍生活を強いられることになると思うんです(笑)。ところが、「成長グラフ」 を確認するとアーサーは晩成のキャラだということがわかる。使い続けると、魔法も覚えるし、だんだん強力なキャラに成長していくんですね。

ちなみにいっしょに戦闘をしていくことで、そのキャラクターとの本陣 (※2) での会話が増えていきます。メガドライブ版では1パターンしかありませんでしたが、今回は容量が許す限り詰め込みましたよ(笑)。

このようにマニアにも、やり込める要素も追加しています(笑)。


——最後に、メッセージをお願いします。

下里■ 昔、『神々の遺産』 を遊びつくした人にも新たな発見がある。初めての人には、より遊びやすくなっているのが 『黒き竜の復活』 です。ゲームシステム的にもシンプルなところが逆に新しさを感じることができると思います。

シミュレーションRPGの原点である、この作品でぜひ遊んでください! 僕が開発プロデューサーをやっている 『新シャイニング・フォース(仮)』 についても、近々発表したいなと思っています。

※2:本陣……本陣は町にあり、主人公や仲間たちが戦いの準備をする場所。



GBA 『シャイニング・フォース 黒き竜の復活』
発売日:2004年8月5日  価格: 4,800円 (税込5,040円)
ジャンル:RPG

● セガダイレクト 『シャイニング・プロジェクト』

次回の 「SEGA VOICE」 は、バーチャファイターシリーズ10周年記念作品 『バーチャファイター サイバージェネレーション』の大崎誠ディレクターが登場! 最強格闘ゲームのノウハウはどのように活用されているのか、なぜアクションRPG?、などなど、開発秘話が盛りだくさんのインタビューです。


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