Page : 1 _ 2 _ 3 _ 4 _ 5 |
中 裕司 (なか・ゆうじ) |
||||||||||||
ソニックチーム代表取締役社長。1984年入社。 代表作に『ソニック』シリーズ、『NiGHTS』、『バーニングレンジャー』、『ファンタシースターオンライン』など。 1965年生まれ。 |
||||||||||||
■高校時代の中さん ―― 『ガールズガーデン』はセガに入社してはじめてプログラムした作品ということですが、それ以前、たとえば高校時代などはどんなゲームをつくっていたんですか? 中■セガに入る前に持っていたのはNECのPC-8001というパソコンで、高校のコンピュータの授業ではMZ-80/cを使っていました。 学校ではBASICだけでしたが、自宅ではBASICと機械語を使ってゲームとかデモをつくっていました。当時はアニメ好きだったので、画面の中でラムちゃんを踊らせたり、マクロス動かしたり、それから『ペンゴ』が好きだったのでつくりましたね。 でも、基本は『I/O』とか『月刊アスキー』に載っていたプログラムを打ち込んでゲームしていました(笑)。 ―― 当時は自分でつくったプログラムをそういった雑誌に投稿する人も多かったですが、中さんは投稿の経験とかありますか? 中■投稿はしてないです。ただ、第2回エニックス・プログラムコンテストには応募しようと思ってPC-8001で3Dシューティングゲームつくってました。 そのためにフロッピーディスクドライブ買って、ずっとやってたんですけど最終的には間に合わなくて……。 オープニングデモとかゲーム部分がバラバラで、それらのパーツを組み合わせなければいけなかったのと、難易度設定のテーブルが調整できてないくらいの状態で、完成まではほんとにあと数日のところだったんです。 できあがってエニックスにもしも応募していたら、僕もドラクエつくっていたかもしれないですね(笑)。 ―― プログラムは独学なんですか? 中■高校2年のときに、日本マイコン学院というところでアルバイトしてたんですが、ある人がプログラムつくって、僕らがそれをマルチプラットフォーム化するんです。FM-7、パソピア7、マルチ16、X-1、MSX、PC-8001、88、98……たぶん15機種くらい。 基本はBASICで、表示部分だけアセンブラ書いて高速化して10個くらいのゲームを短いスパンで100本くらい移植しました。 西岡さんは『月刊アスキー』でワンキープログラムというコーナーをやってて、知り合った当時すでに500本くらいの短いゲームをつくっていた有名な人なんですが、いろいろと教わったことも多く僕の師匠みたいな人ですね。 ―― その時、移植したタイトルって覚えてますか? 中■……20年前くらいのことだし、自分のオリジナル作品ではないので、移植したタイトルまでは覚えてないんですけどね。 う~ん、確か『スマイル』っていうのが、あったような気がするけど……。具体的なタイトルは全然覚えてないです(笑)。テープメディアなので、手に入れたらすごいですよね。 |
|||
■セガ大森寮の思い出 ── セガに入社してからは、どこかに下宿とかしてたんですか? 中■セガに入社したての頃は8時半から17時15分まで働いて、まっすぐ寮に帰っていました。 セガ大森寮といって、トタン屋根で横もトタン張り、共同トイレで廊下は板、歩くとミシミシ鳴るんです。6畳一間に男ふたり、風呂がないので銭湯に通いました。 銭湯は23時までにはいらないといけないので、残業があってもセガを22時半に出なければいけない。自転車でダッシュで帰って、風呂はいってましたね(笑)。 ―― 寮ということは、食事もついているんですか? 中■セガの寮すべてのなかで大森寮だけ、朝と夜のごはんがついているんです。 大森寮のおばちゃんは戦時中、進駐軍かなんかのまかないを作っていて、そこでハイカラな料理を覚えたそうなんです。それでロールキャベツとか名前のよくわからない妖しげな料理が月曜日から金曜日まで食卓に並ぶわけです。 その料理もスゴかったわけですが、決まって土曜の夜はカレーなんですよ。月曜から金曜までの残ったもの全部が入っているカレーです(笑)。 「なんだこれ、カマボコか?」とか言いながら、食ってましたけどねぇ。意外と、慣れるもんです(笑)。 ―― ……仕事が終わって寮に帰ったら、ゲームなんてやらないもんですか? 中■寮でもゲームはバリバリやっていて、僕の部屋にはPC-8001と次に買った98Uがありましたし、アップルIIやX-1持ってる奴もいたので、その部屋に行って遊んでいました。 僕はここに3年間住んでいたわけですが、僕が出たあと2年後くらいに閉鎖しちゃって確か魚屋さんの寮になったはずです。 ……今でも、時々車で見に行ってるんですよ。 |
▲かつて大森寮のあった場所は、いまでは駐車場になってしまった。 |