vol14 拡がる『ムシキング』

右スペース 右スペース縦ケイ キャッチ上スペース
スペース 右幅縦ケイ ムシキングは店頭に置きながら、成長すること、続けていくことが大事
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――飽きられないために、どんな “仕掛け” を用意してきたんですか?

植村■ 新しいカードを定期的に出したり、全国各地で行われる大会やイベント、余ったカードとムシキンググッズを交換するキャンペーンなど、さまざまな “仕掛け” を用意してきました。

――新しいカードが定期的に出ているのですね。

植村■ カードに関してはだいたい2ヶ月毎に絵柄の異なる新しいカードを出しています。
たとえ毎週通ってくれている子供でも、飽きることなく次のカードを楽しみに待てるペースが、そのくらいだと思っています。ムシやわざの絵柄を変えて、新しいビジュアルのカードをつくっていくわけですね。

これが全く新しいムシやわざを追加しようと思うと、ソフトウェアのバージョンアップも同時に行わなければいけないわけです。それは新しいムシのデータが、バージョンアップ前のものには入ってないからなんですが……。
この、新しいムシやわざ、ストーリーの入ったソフトウェアのバージョンアップは半年に1度ずつ定期的に行ってきました。

――つまり1年に2回のソフトウェアバージョンアップと、新カードを年に6回出してきたわけですね。

植村■ 我々ムシキングチームの開発現場には 「気分が乗らない」 とか 「自由な表現ができないからやりたくない」 といった発想はありません。 「子供たちの期待を裏切らない」、その気持ちで開発しています。我々は子供たちの期待しているものを続けて出していく。
それが半年に1度、ゲームを新しくしている理由です。

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――このソフトウェアのバージョンアップは、全国一斉に行われるものなんですか?

植村■ 『ムシキング』 の筐体はすべてレンタルで、所有権はセガが持っています。新しいソフトウェアも無償で提供しています。新しく届いたソフトウェアのバージョンアップは店舗側でしていただいているので、全国一斉にバージョンアップすることができるんです。これはレンタルの良さですよね。

このバージョンアップで子供たちが喜んでくれるのはもちろん、店舗の売上も活性化し、セガの利益も上がります。だから、次のソフトウェアバージョンアップ用の開発費が出るんですね。その繰り返しです。

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アダーコレクション

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――ちなみに、現在のカードの種類はどのくらいあるんですか?

植村■ 2年前は、ムシカード18枚、わざカード18枚、レアカードも6枚くらい。現在は、1つのシリーズで120種類以上あって、レアカードや “珍しいカード” と呼ばれるものもいっぱいあります。

今は “アダーコレクション” の人気が高いですね。これをスキャンすると、目が赤いムシが出てきて、アダーが 「いでよ、オオクワガタ!」 なんていう風にしゃべる (笑)。これがスゴイ人気なんです。

―― 『ムシキング』 の人気の秘密は、大会にもあると思うんですが、その辺りのお話を聞かせてもらえませんか?

植村■ 2003年に始まった公式大会は、2005年2月で16,000大会に達しました。

囲碁でも将棋でもそうだけど、ひとりで遊ぶより絶対に人との対戦の方が楽しいですよね。だけど、 『ムシキング』 も当初は 「ゲームセンターでみんなと対戦してね」 と言ったところで、知らない人とはなかなか対戦バトルにならなかったんです。

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スペース そこで子供たちに何か新しい目標設定をしてあげる必要があったんですね。「今度、ムシキングの大会があるんだけど、そこで優勝すると勇者として認められるんだって (勇者決定戦)」 と言うと、子供たちは俄然張り切るわけです。目標があるから、練習もするし、自然と対戦も行われるようになりました。

大会では優勝できるのはひとりだから、32人参加した大会では31人が悔しい思いをして去っていく。それが勝負だから仕方ない。……しかし、 「次はボクが優勝する!」 という新しい目標を持ってもらう事ができます。それがゲームとしての目標を維持しているのだと思います。

自分の周りだけのいつも同じ人間関係の中だけで対戦していてもつまらないんですよ。未知なる相手と対戦できる大会があるから、 『ムシキング』 はゲームとして盛り上がっているんです。

2ヶ月に1回出るカードと、半年に1度のソフトウェアバージョンアップで 『ムシキング』 を盛り上げていく、それだけじゃ子供たちにはまだ足りないんです。大会を行い、子供たちに常に新しい目標を設定してあげることで、子供たちはより楽しく 『ムシキング』 をプレイできるようになるんです。

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スペース ――次に何を仕掛けるか、というアイディアは、どこから生まれてくるものなんでしょうか?

植村■ 次はどうしたらいいのか? という答えは現場 (ゲームセンター、ショッピングセンターなど 『ムシキング』 を置いているところ) にあるんです。大会で泣く子供、うれしがる子供、レアカードが出て喜ぶ子供など、現場でその姿を見ると強烈に今何をすべきか、問題がどこにあるのか見えてくるんですよね。

稼働が始まったばかりの頃、 『ムシキング』 に行列ができた時はうれしくて実際にうちの息子と並んでプレイしてみたんだけど、30分も並んで1回しかプレイできないとだんだん腹が立ってくるんですよね……(苦笑)。

行列ができたことは、 『ムシキング』 の注目を集めるために良かったことかもしれないけど、ユーザーからしてみればたまったもんじゃないという気持ちになりますよね。

……そういう気持ちも、実際に並んでみなければわからなかった事です。客観的に行列を見てたんじゃ、わからなかった。だから、「答えは現場にある!」 これが今でも毎週、僕が現場に出かけていく理由です。

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勇者決定戦 
オータムカーニバル

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▲手作り感覚満載の、大会告知ポスター。怖い顔したブラック博士は、実は植村氏。ネブ博士も開発者。
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―― 『ムシキング』 は、スタッフが現場に出かけていくことで、大きな仕掛けのアイディアを得たり、ゲームの細かい調整が行われているということですね。

植村■ 例えば、ロケテストをやって、2〜3日でインカム (収入) が上がったからと言って喜んじゃいけないんです。その後も観察し、子供たちが何を面白がっているのか、何をつまらないと思っているのか。何ができて、何ができないのか。傍らで開発陣がずっーと見ています。そこの情報を量産版に反映する。

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でも、それでも安心できないから、毎週現場に行って子供たちの様子を見るんです。なぜなら子供たちは毎日成長しているので。ゲームも子供たちの成長に合わせてバージョンアップしなければならない。ゲーム内容でうまくいってるところはボリュームアップしていくし、うまくいってないところは削っていく。

『ムシキング』 は店舗に置きながら、成長すること、続けていくことが大事なんです。 後編に続く→

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