vol14 拡がる『ムシキング』

スペース 今回は、小学生を中心に大ブームを巻き起こしている
『甲虫王者ムシキング』 の植村比呂志プロデューサーに、
その人気の秘密と、これからの 『甲虫王者ムシキング』について、たっぷりと語っていただきました。
植村さん スペース 植村比呂志 (うえむら・ひろし)
『甲虫王者ムシキング』総合プロデューサー

1989年セガ入社。未来研究開発部に配属され、約10年間、ジョイポリスの大型アトラクションの開発に携わる。その後、セガの新規事業として 『タッチでポン!』、『マクドナルドのタッチであそぼ!』 等を開発。現在は、ファミリーエンターテインメント研究開発部で 『甲虫王者ムシキング』 『オシャレ魔女 ラブandベリー』 を開発、全国に展開中。
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植村プロデューサーが語る
2003年1月に稼働を開始した 『甲虫王者ムシキング』 (以下、 『ムシキング』 )。約2年が経過した2005年2月現在、国内出荷台数は8,000台を数え、小学生を中心に大進撃を続けています。
今回は、そんな 『ムシキング』 の人気の秘密や、その人気を維持するために大切にしていることなど、たっぷりと植村比呂志プロデューサーに伺いました。
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スペース 右幅縦ケイ ヒットの理由は実在の昆虫をテーマに選んだこと
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——前回のインタビューから約2年経ちました。今回はまず最初に、現在の 『甲虫王者ムシキング』の状況を教えていただけませんか?

植村■ 『甲虫王者ムシキング』(以下、 『ムシキング』 ) は、2003年1月の稼働開始以来、国内出荷台数が8,000台、カードの出荷枚数が1億5,000万枚を突破しました。

2年前に 「とにかく、あと1年で小学生男子は全員、 『ムシキング』 のことを知ってる状況に持っていきたい」 と発言したけど、ほぼそのような現状になっていると思います。順調に伸びてきてよかったなぁと思う反面、来年、再来年はどうなるのだろう、という危機感もまだあります。

—— 『ムシキング』 が大ブームになった要因は、どんなところにあるんでしょう?

植村■ まず、 『ムシキング』 がヒットした最大の理由としては、テーマとして実在の昆虫を使っていることだと思います。我々が考えたキャラクターではなく、自然界に実在する虫をそのまま使っているということが重要なんです。

昆虫、特に甲虫は、姿、形、生態それだけで子供たちの興味を引くんですよ。
それをカードにしてプレイ毎に一枚払い出す。これもポイントです。

『ムシキング』 のカードを家庭に持ち帰ることで、親子はもちろん、おじいちゃん、おばあちゃんまでいっしょに虫の話をすることができる。
ゲームのことはまったくわからないおじいちゃんでも、虫の話ならば 『ムシキング』 のカードを見ながら孫に話してあげることができますよね。実在する虫だからこそ、共通の話題としてコミュニケーションできるんです。


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筐体
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店頭風景1
 
店頭風景2
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——親といっしょに楽しめるということが理由として大きかったということですね。

植村■ やっぱりテーマが親に嫌われるものであってはならないんです。子供がやりたがるものはいっぱいあるけど、何をやらせるか決めるのは親ですよね。
だから、子供がいくらやりたいと言っても、親として暴力的なものや反社会的なものはやらせたくない。これが普通の親だと思う。
そういう意味で、親に嫌われないようなテーマ、親が子供に伝えたいテーマを盛り込んだものというのが重要になってくるわけです。

それともうひとつ、 『ムシキング』 が大型ショッピングセンターを中心に設置されたこともヒットした要因に挙げられると思います。昔のショッピングセンターは子供にとってあまり面白い場ではなかったけど、今のショッピングセンターはゲームコーナーなど子供が楽しめる場所 (=親が買い物をしている間、遊んで待てる場所) が用意されているんですね。

「お母さんが買い物している間、これでムシキングでもやって待っていなさい」 と、いくらかのお小遣いを渡す。……これが、 『ムシキング』 の大きな収入になっているんです。

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『ムシキング』 は1回100円。しかも、必ずカードが1枚ずつ排出される。そのカードに描かれているのも、アニメのキャラクターではなくて実在の虫である、と。
だから、ショッピングというイベントに子供が付き合ってくれた “ご褒美” としてムシキングをやらせてあげる。このシステムがうまくいってるのかな、と思いますね。

——さきほど 「危機感は常に持っている」 とおっしゃいましたが、それはなぜですか?

植村■ どんな人気のあるキャラクターだって、ちょっと気を抜くとすぐに忘れ去られてしまいます。ユーザーが増えた分、飽きる子供も相当数でてきている、そういう危機感です。

確かに 『ムシキング』 の売上は順調に上がっています。ただ、その中には 『ムシキング』 のカードを目的とする大人のユーザーが存在するのは明らかで、売上のある一定の割合は大人のユーザーによる “大人買い” だと考えています。だから、ユーザー数は売上ほど爆発的に増えたとは思ってはいません。

…… 『ムシキング』 は元々、子供が興味を持つようにムシを題材にしているわけです。でも、大人のユーザーの方が興味あるのはどちらかといういとカードなんですよね。
……もし、大人のユーザーの方がカード収集に飽きてしまったら、 『ムシキング』 から離れてしまう可能性があると予想しています。しかし、 『ムシキング』 にとっては、ターゲットとなるお客さん、つまり子供たちは残っていれば、売上が今の状況から多少ダウンしたとしても悪いことではないと思っています。やはり何といっても、子供たちが 『ムシキング』 から離れ、売上が下がることの方に危機感を感じます。

だから、我々は子供たちが 『ムシキング』 に飽きないように、日々ムシキングについて考え続けているんです。いろいろな“仕掛け”を用意して、ムシキングを常に少しずつ進化させることも大切にしています。次ページへ→

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