ストーリー・作品解説







- この悲劇が繰り返されないことを願って -

 1939年9月1日、アドルフ・ヒトラーひきいるドイツ第三帝国の機甲部隊が、ポーランド侵攻を開始した。

 そしてこのときから、全世界をまきこんだ第2次世界大戦へと歴史は流れていったのであった。

(チラシ『MEGA PRESS 20』より)





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【戦略シミュレーションゲーム『大戦略』】

 古くから、相手と戦略・戦術を競う遊びとして親しまれているチェスや将棋を始めとするテーブルゲーム。定番ともいえるこれらの遊戯の発展系として、特定の状況を再現するため複雑なルールを採用し独自の進化を遂げていったものの中に“ボード・シミュレーションゲーム”がある。

 ボード・シミュレーションゲーム(今特集では“合戦や大規模な戦闘”を題材とした「ウォーシミュレーション」に限定)とは、地形等が描かれたボード(盤面)の上に、兵士や兵器といったユニット(駒)を並べ、“敵の殲滅”や“拠点の確保”など特定のルールの下で相手と戦術の優劣を争うものである。ボード・シミュレーションゲームは、描かれた地形によってユニットの移動性能が変化したり、相手を攻撃する際の攻撃力・防御力が増減するなどのリアルさが追求されていくが、その都度変化する数値を遊ぶ側が計算しなければならず、複雑化していくルールがそのまま敷居の高さとなり、一般的にマニアックな遊びとして認識されることが多い。

 そうした状況の中、複雑なルールの管理や計算はコンピュータにまかせてしまい、戦術の部分をより深く楽しめるようにするために、コンピュータを用いたシミュレーションゲーム(以下SLG)が登場するのは自然な流れであった。1985年、株式会社システムソフトよりNEC-PC9801(以下PC98)用パソコンゲーム『現代大戦略』が発売される。

 『現代大戦略』はその名の通り近代戦をシミュレートしたもので、相手の都市を占領して強力な兵器を生産、首都を占領すれば勝利というルールの下、実在する兵器群がユニットとして登場し、対戦相手は人間だけでなくコンピュータに引き受けさせることもでき、最大4ヶ国で対戦できる。「大戦略」は、1983年に発売された株式会社光栄(現コーエー)の「信長の野望」と並び、国産SLGの代表作となった。

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『アドバンスド大戦略 ドイツ電撃作戦』イメージイラスト

【『大戦略』メガドライブに登場】

 当時はビジネス機としてまだ高価であったPC98用ゲームとして登場した「大戦略」。後にゲームユーザーが多く所有するPC-8801(以下PC88)向けに『大戦略88』が発売。そしてPC98用『大戦略II』を経て、1988年、PC88用『SUPER大戦略』が発売される。『SUPER大戦略』は『大戦略II』に比べ使用可能なユニット数が倍増され、自由に戦いの舞台となるマップを作成できるマップコンストラクションが収録されるなど大きな進化を遂げ、後にPC98用へと逆移植される。

 『SUPER大戦略』のヒットを受けて家庭用ゲーム機へと移植されたのが、メガドライブ(以下MD)版『SUPER大戦略』である。MD版『SUPER大戦略』は、単なる移植作品にとどまらず、パソコン版をベースとしながらも操作部分を家庭用ゲーム機のコントローラで無理なく行えるように変更、またこれまでの家庭用ゲーム機向けSLGにはなかった膨大な兵器データを採用し、コンピュータの思考能力や兵器のバランス調整がさなれ、オリジナルの「大戦略」と言っていい程の作品となった。

 また独自の要素として鉄道や艦船、輸送機などが追加されるなど、より深い戦術を駆使することができるようになり、MD版『SUPER大戦略』は、家庭用ゲーム機ユーザーのみならず、パソコンユーザーからも高い評価を得た。

『スーパー大戦略』

『スーパー大戦略』

メガドライブ『スーパー大戦略』

【独自の要素をさらに進化させた『アドバンスド大戦略』】

 MD版『SUPER大戦略』の高い評価を受けて、セガは再び「大戦略」を制作。1991年に登場したのがMD版『アドバンスド大戦略 ドイツ電撃作戦(以下アドバンスド大戦略)』である。

 「アドバンスド大戦略」は、これまでの「大戦略」シリーズがモチーフとしていた架空の近代戦をシミュレートした作品とは違って、第二次世界大戦という実在した一時代に作品世界を限定。大戦時に使用された500以上の兵器がユニットとして登場した。ゲームシステムもMD版『SUPER大戦略』を更に進化させ、兵器の進化・改良、索敵、天候など数々の新要素を追加するなど、より細かいものになった。

 マップ(戦場)も大戦中に戦場となった場所や戦況が多数再現され、プレイできるモードもマップを自由に選択して遊ぶことができるスタンダードモード、メガモデムを利用して離れた相手とデータのやりとりができるモデムモード、そして「アドバンスド大戦略」最大の要素として、大戦時のドイツ第三帝国の興亡を描いた“キャンペーンモード”が登場した。

 キャンペーンモードは、プレイヤーはドイツ軍となり、1939年のポーランド侵攻から1945年ベルリン陥落までの史実を再現したモードで、当時のドイツが如何に無謀な戦いを繰り返してきたかを体験できるようになっている。

 しかしマップクリア時の自国の戦力が次のマップへと引き継がれるようになっているため、攻略次第では史実とは違った“歴史のif”を体験することもできる。とはいえ、あくまでも第三帝国の崩壊までを描いた内容であるため、“if”の世界へ進むことは至難の業であり、“歴史を変えることの難しさ”を痛感させられた多くのプレイヤーによって、「アドバンスド大戦略」は熱狂的な支持を得ることとなる。

 また緻密なルールを解説し、登場兵器の性能等が紹介されたマニュアルは、カートリッジケースに収まらない程のページ数となり、外付けで販売されたことも話題となった。

『アドバンスド大戦略』

『アドバンスド大戦略』

『アドバンスド大戦略』

【2つの系統に分かれた「大戦略」】

 『アドバンスド大戦略』のヒットにより「大戦略」は、システムソフト(システムソフト・アルファー株式会社)から発売される近代戦をシミュレートした“現代系”と、セガから発売される第二次世界大戦を舞台とした“アドバンスド系”という2つの大きな柱に分かれる(実際にはそれぞれがさらに細かく系統分けされている)。

主な“アドバンスド系”大戦略 の変遷
「“アドバンスド系”大戦略」の変遷

 「現代系」からはPCを中心に『大戦略III~VII』『キャンペーン大戦略』『大戦略マスターコンバット』『現代大戦略2002』などが登場、システムソフトからライセンスアウトされ、家庭用ゲーム機に移植された作品も多数存在する。

 「アドバンスド系」では、戦闘シーンが3Dポリゴンによって表現された『ワールドアドバンスド大戦略 ~鋼鉄の戦風~』『ADVANCED WORLD WAR 千年帝国の興亡』(セガサターン)、『アドバンスド大戦略 ヨーロッパの嵐・ドイツ電撃作戦』『アドバンスド大戦略2001』(ドリームキャスト)、PCでは『アドバンスド大戦略98』『アドバンスド大戦略98II(ツヴァイ)』『アドバンスド大戦略2001』『アドバンスド大戦略IV』などが登場した。

 また、過去にはゲームギア『対戦型大戦略G』、最近ではボーダフォン対応『アドバンスド大戦略J』など、携帯端末向けのものも登場している。

『ワールドアドバンスド大戦略 ~鋼鉄の戦風~』

SS『ワールドアドバンスド大戦略 ~鋼鉄の戦風~』

『アドバンスド大戦略98』

PC『アドバンスド大戦略98

『アドバンスド大戦略 ヨーロッパの嵐・ドイツ電撃作戦』

DC『アドバンスド大戦略 ヨーロッパの嵐・ドイツ電撃作戦

『アドバンスド大戦略2001』

PC『アドバンスド大戦略2001

『アドバンスド大戦略IV』

PC『アドバンスド大戦略IV





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『アドバンスド大戦略』の遊び方(1)