1981年、日本から単身ハリウッドへ渡ったアクション俳優、ショー・コスギが出演した『燃えよNINJA』をきっかけに、アメリカで空前の“ニンジャブーム”が巻き起こった。
空手やカンフーを中心とした肉弾アクションから、日本刀・手裏剣をはじめとする奇想天外な武器、煙とともに繰り出される忍術、赤・白・黄といったカラフルな装束、怪しげな日本文化…など、あらゆる要素が盛り込まれた“ニンジャ映画”は、アメリカ・香港・台湾を中心に星の数ほど製作され、低予算ではあるが娯楽映画の一ジャンルとしてその地位を確立するまでになる。
一方、忍者の生まれ故郷である日本において、その歴史は古く、大和・奈良時代までさかのぼる。
忍者を題材にした作品の中には、服部半蔵や猿飛佐助、霧隠才蔵など、忍者一個人がヒーローとして活躍する作品も数多く登場し、古くからの文献・書籍を始め、現代においても小説、漫画やアニメ、ドラマ・映画などに登場し、高い身体能力や派手な忍術が描かれ、多くの人が幼少より慣れ親しむ存在であったが、その活躍の場は、実際に忍者が存在した時代に沿っていたため、破天荒な冒険活劇であっても、そのほとんどが時代劇となっていた。
そんな日本において、アメリカからやってきた「ニンジャ」は、これまでの日本人が思い描いていた「忍者」の概念とは大きくかけ離れたものであった。
「忍者」が戦国時代や江戸時代などの過去、またはSFなど遠い未来を舞台にしていたのに対して、「ニンジャ」が活躍する舞台は現代。また、本来「忍者」は黒装束を身にまとい、歴史の闇に生きるスパイのような存在だが、「ニンジャ」は昼間の街中でも派手な格好で堂々と戦い、車にも乗るし銃も撃つ…という、まさに“何でもあり”であったからだ。
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「燃えよNINJA(81・米)」 (原題:ENTER THE NINJA)
悪の組織に狙われる親友を救うため、日本で修行したニンジャ、コール(フランコ・ネロ)が、組織に戦いを挑む。ショー・コズギは悪のニンジャ、ハセガワとして登場した。
監 督:メナハム・ゴーラン
出 演:フランコ・ネロ
ショー・コスギ
スーザン・ジョージ
ニンジャブーム到来以前のセガの忍者ゲーム代表作といえば『忍者プリンセス(85)』。他社からは、UPL『忍者くん(84)』、タイトー『影の伝説(85)』などが登場するが、“時代物”という枠から大きくはみだすことはなかった。
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