ストーリー・作品解説







 長期にわたる平和は、人類から戦闘本能までをも奪ってしまった。統一政府はこの事態を憂慮し、2348年に擬似戦闘体験システム「ゲイングランド」を開発、人間の闘争本能を刺激することにした。しかし、突然制御していたスーパーコンピュータが暴走し、多くの人が機械の捕虜となってしまった。捕虜救出のために選ばれた3人のコマンドは、狂った「ゲイングランド」の中へと出動した。

「ゲイングランドシステム」

人間の闘争本能を充足させる事を目的として開発された、スーパーコンピュータ、戦闘シミュレーションシステム。
(MAC AUSTIN著“GAIN GROUND”より)


(『ゲイングランド』チラシより)





イメージイラスト

【高解像度ディスプレイ専用業務用マザーボード「システム24」】

 1988年、『ファンタジーゾーン』や『テトリス』など、それまでセガのアーケードゲームの主流となっていた業務用マザーボード(基板)「システム16(A/B)」の上位基板として、16ビットCPUを2個搭載し、これまでの筐体で使用されていた水平走査周波数15.750kHzのディスプレイよりも高い解像度を誇る、水平走査周波数24.830kHzのディスプレイ(周波数が高くなることにより画面描画の速度が上がるため、ディスプレイへ転送出来る情報量が多くなる)で使用することを前提としたマザーボード「システム24」が登場する。

 システム24は高い解像度の他にも、フロッピーディスクドライブを搭載し、ゲームディスク(3.5インチ)とセキュリティチップを併用することにより海賊版対策を強化するといった工夫がなされている。システム24は、これまでの店舗に置かれていた15kHzのディスプレイでは表示できないため、同時期にシステム24に対応したシティ型筐体『エアロシティ』とテーブル型筐体『エアロテーブル26』も併せて登場する。

システム24仕様(『ゲイングランド』チラシより抜粋)
CPU 68000-10(16bit CPU) 2個
スクロールキャラクター数 4096キャラクター(8dot×8dot)
スプライトキャラクター数 2000キャラクター(16dot×16dot)
画面 スクロール画面2面+WINDOW画面2面
スプライト、画面中2048個まで可能
サウンド FM音源8チャンネル
D/Aコンバータ(スピーチ・効果音用)
ステレオ・ヘッドホン出力
メモリー容量 RAM容量 1360Kbyte ROM容量 256Kbyte
カラー 4352/32768色中
『システム24』

システム16とシステム24

「システム16」が16ビットと8ビットのCPUを搭載していたのに対して、「システム24」は16ビットCPUを2個搭載している。また画面もシステム16の [320×224ドット] に対して、[496×384ドット] と、ヨコ・タテともにおよそ1.5倍の大きさを持つ。(左画像参照)

『ホットロッド』
 高い解像度を活かして細かく描きこまれた画面上を小さな車が走り回る見下ろし型のレースゲーム『ホットロッド』以降、システム24では、今回紹介する『ゲイングランド』をはじめ、『クラックダウン』『ボナンザブラザーズ』など、緻密なグラフィックのゲームが登場した。

 初期のシステム24専用ゲームは、“フロッピーディスク+セキュリティーチップ”という形で供給されていたが、ゲーム交換の簡易さとセキュリティ強化のために設けられたフロッピーディスクシステムが、皮肉にもメンテナンスの煩わしさを生み出すこととなってしまい、後のゲームはROMキットのみで供給されるようになった。

 24kHzディスプレイ専用であったことや、フロッピーディスクドライブユニットの耐久性の問題をはじめ、セガのマザーボードシステムの主力が、32ビットCPUを搭載した「システム32(1990年登場、代表作『ラッドモビール』『レールチェイス』など)」へと移行していったことから、システム24の後年は『クイズ 宿題を忘れました』などのパーティー系のゲームを中心としたラインナップを担うこととなる。


大型筐体で登場したシステム24第1弾『ホットロッド』。


「システム24」ラインナップ

■ホットロッド(88)

■スクランブルスピリッツ(88)

■ゲイングランド(88)

■クラックダウン(89)

■ジャンボ尾崎
  スーパーマスターズ(89)


■ボナンザブラザーズ(90)

■ラフレーサー(90)

■クイズ宿題を忘れました(91)

■クイズ廊下に立ってなさい(91)

■ダイナミック
  カントリークラブ(91)


■所さんのまーまーじゃん(92)

■クイズゴーストハンター(94)

■所さんのまーまーじゃん2(94)


【時代を超えた、ドラマチックウォーズ 『ゲイングランド』】

 緻密で大画面ながら小さなキャラクター(以下:コマンド)が動き回るシューティングゲーム『ゲイングランド』は、1988年当時、ゲームメーカー各社が大型筐体をはじめ、派手な演出やグラフィックをアピールするゲームを次々と発売していた時期に、「システム24」第3弾として登場した。

 見下ろし型の固定画面の中に、高さの要素を取り入れた“箱庭”を再現。武器・走力・射程距離など異なる特徴を持ち、利き腕までもが存在する個性的なコマンドを使い分け敵を倒していく『ゲイングランド』は、ステージ内で捕虜となっているコマンドを救出することによって仲間(自機のストック)が増えていくにもかかわらず、適材適所で使用していかないとステージクリアもままならないという難易度の高いゲームであった。

 また、敵を倒すだけではなく、画面内の「EXIT」よりコマンドを脱出させれば制限時間がなくなっても次のステージに進める(逆に制限時間がなくなった時点で脱出できなかったコマンドは次のステージに進むことができない)という独特のシステムは、初心者への救済措置であると同時に、脱出させることのできたコマンドによっては次のステージがほぼクリア不可能になってしまう状況を生んでしまったりと、操作テクニックもさることながら、プレイヤーの“戦術”が重要視されるパズル的要素と高い戦略性がゲームマニアを中心に話題を呼んだ。2人同時プレイではこの戦略性がより強化され、2人が協力してじっくり腰を据えて各ステージを攻略していかないとクリアは困難であった。

 『ゲイングランド』は基板上のスイッチによって各ステージの制限時間を変更でき、時間設定によってはそれまでの攻略パターンが通用しなくなってしまうなど、「入口は狭いが奥が深い」ゲームの代表的存在として、現在も支持を集めている。

1988年に登場した
主なアーケードゲーム


・ギャラクシーフォースII
        (セガ)


・ウイニングラン(ナムコ)

・ニンジャウォリアーズ
        (タイトー)


・グラディウスII(コナミ)

・ロストワールド(カプコン)

 ─ 等々


ゲイングランド

『ゲイングランド』

【深い戦略性をもたらした“バグ”】

 『ゲイングランド』初期出荷バージョンには、「ラウンド4ステージ8(以下4−8)で、敵の砲台を全滅させてもステージクリアにならない」というバグが存在する。そのため敵全滅は不可能となり、脱出以外に4−8をクリアする方法がなくなってしまう。

 制限時間内に脱出できる人数は限られてくるため、4−8ではカニ型の敵と砲台の片側のみを壊してとにかくコマンドの脱出に専念させられることとなる。制限時間の設定によって多少前後はするが、結果として4−8にたどり着くまでに助けた仲間が20人以上いたとしても、4−8クリアの時点で半数以上を時間切れで見捨てることになり、次の4−9でも数人失うほど敵の攻撃が激しいこともあって、結果として最終ボスに挑めるのはほんの数人のコマンドになってしまう。

 しかしこの現象がかえって“どのキャラを連れていくべきか”という大きな選択を求められることとなり、選抜キャラで残りの2ステージを闘い抜かなければならないという緊張感のある状況を生みだし、ユーザーからは「これは意図的に仕組まれたものなのではないか?」など、バグであるにもかかわらずユーザーから支持されるという奇妙な状況を生み出した。(これらの背景には、最終ボスが特定のコマンドで簡単に撃破できる方法が発見され、たとえ最終面までにほとんどのコマンドを失うことになってもクリアは可能、という“保険”が存在しているからこそ、とも言える)

 後にカニ型の敵を4体倒すとステージクリアになり、このバグが回避されるバージョンが出荷されたが、こちらはあまり話題に上ることはなかった。
ラウンド4ステージ8

「ラウンド4ステージ8」
退路を確保したら脱出あるのみ。ゲームルールが破碇してしまうバグではあるが、“暴走したシステムに挑む”というストーリーそのまま…と言えなくもない。

【家庭用『ゲイングランド』】

 『ゲイングランド』は家庭用ゲーム機にも移植されている。オリジナル要素として「現代面」が追加され、全5ラウンド50ステージとなっているメガドライブ版、海外でのみ発売されたマスターシステム版、『ゲイングランドSX』というタイトルで株式会社NECアベニューより発売されたPCエンジン版の3種類が存在するが、縦画面で高解像度出力を前提として作られたアーケード版を完全移植することは当時の家庭用ゲーム機では不可能であった。

 前回特集された『ファンタシースター』同様、『ゲイングランド』も、(株)スリーディー・エイジスよりSEGA AGES 2500ブランドとして、プレイステーション2版が発売された。

また、2006年12月2日に任天堂より発売されたゲーム機「Wii」のバーチャルコンソールにて、メガドライブ版のゲイングランドを遊ぶことができる。(公式サイト
メガドライブ版『ゲイングランド』

MD版では、最初から20人揃った状態でスタートできるが、捕虜が一切登場せずコンティニューも不可能なハードモードも追加された。





トップページにもどる

『ゲイングランド』の遊び方