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HISTORY TOPICS

ヒストリー・トピックス

ゲーム業界の歴史を振り返るコラム
各年代の出来事とともに、
当時のゲームの立ち位置や魅力・文化を紹介。

2010年〜
進化するアーケードゲーム

2010年に入ると、6月にはAppleのスマートフォン”iPhone 4″がリリースされ大きな話題となり、また同年9月には、ヤフーとDeNAが”Yahoo!モバゲー”の運営をスタートさせ、スマホおよびソーシャルゲームの盛り上がりはさらに増していった。なお、2010年、国内でのソーシャルゲーム市場は1120億円、なんと前年比の4.4倍になるという(※1)。

このような、スマホのムーブメントに押されつつ、2010年付近以降、アーケードゲーム業界は少々厳しい状況が続いていく。スマホ&ソーシャルゲームの普及により、ちょっとした空き時間にゲームセンターへ行くことが減り、”若者のゲーセン離れ”が報じられるようになる。

また、プレイステーション3やXbox 360などによる、家庭用ゲーム機のネットワークサービスも充実していき、家に居ながらにして手軽にネットゲームが楽しめる環境が整っていったのも、”ゲーセン離れ”に拍車をかけていった。

そんななかセガは、アーケードゲームの次の進化を遂げるべく、自社が提供するネットワークサービス“ALL.Net”において、それまでゲームごとに必要だった専用のICカードを、ひとつのICカードまたは携帯電話(スマホ)に集約するサービス“Aime(アイミー)”をスタートさせた。

(※1)出典:『ソーシャルゲームユーザー白書2011』(エンターブレイン・刊)

Aime(アイミー)

これによりゲームデータを一括保存できるようになり、また専用サイトでのデータ閲覧・管理・各種サービスの利用などが簡単に行えるようになった。ちなみに“Aime”対応ゲームの第1弾となったのは、同社のトレーディングカードアーケードゲーム『戦国大戦』である。

また同時に、バンダイナムコエンターテインメントが運営する、ゲーム一元管理システム”バナパスポート”との相互利用も開始。スマホを利用しプレイヤーの利便性をアップさせ、広くはゲームセンターへの集客へと繋げていったのである。

『戦国大戦』(2010年)

そしてさらなる”進化”として、2013年、セガは『ぷよぷよ!!クエスト アーケード』で、アーケードゲーム初の基本プレイ無料(フリーミアム方式)を導入する。ソーシャルゲームなどでよく知られる”スタミナ課金”と呼ばれる方式を採用し、また、スマホ版『ぷよぷよ!!クエスト』と連動要素も搭載した。

この時期を境に、各社からスマホ(ソーシャルゲーム)を意識した(および連動した)アーケードゲームが増加していく。
同年(2013年)、タイトーは同名のスマホアプリ(音楽ゲーム)をアーケードゲームに移植した『グルーヴコースター』をリリース。

また、コナミデジタルエンタテインメントは、オンライン対戦麻雀ゲーム『麻雀格闘倶楽部(マージャンファイトクラブ)』シリーズと連動するスマホアプリ、『麻雀格闘倶楽部Sp』の配信をスタートさせた。

『ぷよぷよ!!クエスト アーケード』(2013年)

そんな流れのなか、2015年、セガはグループ再編に伴い、アミューズメント関連を手掛ける新会社として(分社化し)、セガ・インタラクティブを設立する。

そして2016年には、セガ・インタラクティブの新たな事業戦略として、“マルチデバイス×ワンサービス”を発表した。これは同社のアーケードゲームのIP(知的財産権)をスマートフォンを含む、さまざまなデバイスに最適化し、サービスやコンテンツとして展開するというものだ。ユーザーとの接点を拡大しつつ、コンテンツの質や量を向上させることを目的としている、という。

ちなみに、この事業戦略発表会において、セガ・インタラクティブ代表取締役社長 CEO の杉野行雄氏はこう語っている。

「アーケードゲームに興味があっても、遊ぶ時間がなかったり、近くに店舗がないというお客さまにタイトルを触ってもらえる環境を用意することも、IPを提供する側の責務。あくまでもアーケードに軸足を置くことに変わりはないが、さまざまな形で新しい感動体験を創造していきたい」(杉野氏)

このような事業戦略からも伺えるように、昨今のアーケードゲーム(およびゲームセンター)は、さらなる進化を遂げようとしている。いわゆる過渡期だ。

今後、どのような方向に進化を遂げるのかはわからないが、昨今話題のVR(バーチャルリアリティー)やAR(拡張現実)、ウェアラブル端末などの新たな技術は、多かれ少なかれ未来のアーケードゲームに何かしらの影響を及ぼしていくのだろうと思う。

もしかしたら、アーケード、コンシューマー、スマホ……といったプラットフォームの垣根がなくなり(もうすでになくなりつつあるが)、”ゲーム”のカタチやつき合い方がこれまでとガラリと変わっていくかもしれない。

ただ、いちプレイヤーとして、ひとこと言わせていただけるのであれば、どのような進化を遂げようとも、単純に「面白いゲーム(作品)がプレイしたい」、ただそれだけである。アーケードゲームはもちろん、すべてのゲームの明るい未来に期待したい。

※”HISTORY TOPICS”は今回(全8回連載)にて完結となります。ご愛読ありがとうございました。

文・ローリング内沢/2017年06月02日掲載

2010年〜のおもな出来事

  • 2010年

    • 羽田空港国際線ターミナル駅が開業
    • 横綱・朝青龍が現役引退を表明
    • チリ鉱山事故 生き埋めの作業員33人全員を救出
  • 2011年

    • 東日本大震災(マグニチュード9.0)が発生
    • 任天堂初の携帯ゲーム機・ニンテンドー3DS発売
    • アナログ放送が終了し、地上デジタル放送に完全移行
  • 2012年

    • 東京スカイツリーが開業
    • ロンドンオリンピックが開催、史上最多のメダル38個
    • 金環日食、国内で25年ぶりに観測
  • 2013年

    • 富士山が世界文化遺産に登録
    • 長嶋茂雄氏と松井秀喜氏に国民栄誉賞
    • 2020年夏季オリンピック・パラリンピックの開催地が東京に決定
  • 2014年

    • あべのハルカスが完成し、日本一高いビルに
    • 17年ぶりに消費税率が増税、5%から8%へ
    • 長寿番組『笑っていいとも!』が放送終了
  • 2015年

    • 北陸新幹線が開業
    • 第153回芥川賞を又吉直樹氏(お笑い芸人)が受賞
    • マイナンバー制度がスタート
  • 2016年

    • SMAP解散騒動
    • 『ポケモンGO』の国内配信開始
    • ピコ太郎氏の『PPAP』が世界的に広まる
  • 2017年

    • 次期アメリカ大統領にドナルド・トランプ氏が就任
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