HISTORY TOPICS
ヒストリー・トピックス
ゲーム業界の歴史を振り返るコラム
各年代の出来事とともに、
当時のゲームの立ち位置や魅力・文化を紹介。
1988年~1992年
新ゲームジャンル“落ちモノパズル“の確立
1980年代後半~1990年代初頭といえば、いわゆる”バブル期”と言われていた時代。
W浅野に憧れるワンレンボディコンのオヤジギャルがディスコで花金に浮かれ、ショルダーホンでメッシーくんを呼び出しイタめし屋で食事、もちろんデザートはティラミス……といった、最近プチブレイクしているバブル芸人”平野ノラ”氏のようなキャラクターが、そこらじゅうにいた時代である。
世間は好景気に沸き、株式や不動産などの資産が高騰。都心では10000円札を振りかざさないとタクシーがつかまらず、高級シティホテルに宿泊することがステータスとなり、クリスマスイブの予約は数ヵ月まえから一杯になる、という状況が続いたのもこの時期だ。
もちろんゲーム業界も例外ではなく、バブル景気の波に乗り、ファミコンの後釜を担う次世代(家庭用)ゲーム機競争が繰り広げられていた。
1987年に発売されたNECホームエレクトロニクスのPCエンジンを皮切りに、1988年には我らがセガも「時代が求めた16ビット」のキャッチコピーでメガドライブをリリース(同時発売タイトルは『スペースハリアーII』と『スーパーサンダーブレード』の2タイトル)。さらに1989年には北米市場で発売し、ジェネシス(GENESIS)の名称で大ヒットを収めた。
そしてそのころ、アーケードゲームの分野ではクレーンゲーム機ブームが到来。初代『UFOキャッチャー』(1985年)に続いて、『UFOキャッチャーDX』(1987年)、『ニューUFOキャッチャー』(1991年)と続々新機種をリリースするセガ。
90年代に入ると、“アンパンマン”をはじめ、“ソニック・ザ・ヘッジホッグ”など有名キャラクターのプライズ(景品)も多く投入され、一般的にも大きく『UFOキャッチャー』の知名度が広がっていった。結果、“UFOキャッチャー”という名称が、他社製のクレーンゲーム機全般の総称として用いられるほどのムーブメントを起こしていったのである。
そんなクレーンゲーム機ブームと並行して、ゲームセンターで流行していたのが、アーケード版『テトリス』(俗称『セガ テトリス』)(1988年)である。ゲームファンならご存じのとおり、旧・ソビエト連邦の科学者、アレクセイ・パジトノフ氏が教育用ソフトとして開発した(1984年に初リリースした)、“落ちモノパズルゲーム”の元祖とも言われている作品だ。
当時、日本国内で『テトリス』の名前を広め、ブームの火付け役となったのは何を隠そうこのアーケード版『テトリス』なのである。本作の登場以降、“落ちモノパズル”はゲームのいちジャンルとして確立され、ゲーム業界に“落ちモノパズル”ブームが到来。アーケード、コンシューマ問わず、さまざまなゲームメーカーから、多くの“落ちモノパズル”がリリースされた。
もちろんセガもその時代の流れに乗り、『フラッシュポイント』(1989年)、『ブロクシード』(1990年)、『コラムス』(1990年)、『ぷよぷよ』(1992年(アーケード版))と、各種“落ちモノパズル”を世に送り出していく。
なかでも『ぷよぷよ』は、その後シリーズ化され、さまざまな家庭用ゲーム機やパソコン、携帯アプリ等で発売され、現在でも多くのファンを持つ人気コンテンツに成長している。
そんななか、2014年に家庭用ゲーム機版としてリリースされた『ぷよぷよテトリス』は、まさに夢のコラボレーション作品だ。同じ画面で、“ぷよ”と“テトリミノ”が共演(!?)するゲームが遊べるなんて、当時、誰が想像しただろう。このような突拍子もないアイデアを具現化するチャレンジ精神こそ、まさにセガの良き持ち味のひとつといえよう。
文・ローリング内沢/2016年12月28日掲載
1988年~1992年のおもな出来事
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1988年
- 世界最長となる青函トンネル(53.85キロ)が開通
- 国内初となる屋根付き球場、東京ドームが完成
- 『ドラゴンクエストIII』発売、初日で100万本を完売
- 世界最長となる青函トンネル(53.85キロ)が開通
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1989年
- 昭和天皇崩御、元号が"昭和"から"平成"に
- 美空ひばり氏、手塚治虫氏が死去
- 消費税制度(税率3パーセント)がスタート
- 昭和天皇崩御、元号が"昭和"から"平成"に
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1990年
- 東西ドイツが統一
- ローリング・ストーンズが初来日
- 「即位の礼」新天皇陛下が即位
- 東西ドイツが統一
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1991年
- 大相撲・若貴ブーム、千代の富士が引退
- 湾岸戦争が勃発
- ソ連崩壊
- 大相撲・若貴ブーム、千代の富士が引退
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1992年
- 東海道新幹線に"のぞみ"が登場
- 歌手の尾崎豊さんが死去
- バルセロナ五輪で14歳の岩崎恭子選手が金メダルを獲得
- 東海道新幹線に"のぞみ"が登場