#27 古代 祐三

1−2
セガのゲームを作る、あんな人、こんな人。

どんな人が、どんなことを考えて、セガのゲームは生まれるのか?

それぞれのクリエイターが持つ “こだわり” や “発想”、開発中に起きるエピソードなど、普段はなかなか聞けないことを、直接会って聞いてみよう! というこのコーナー。

今回は、「3Dモデル自動生成技術」 により誰でも簡単に自分だけのカイジュウを生み出せる 『カイジュウの島 〜アメージングアイランド〜』(GC) のプロデューサーであり、ゲームファンには “古代サウンド” でお馴染みの 古代 祐三 氏 (エインシャント) にお話しを伺いました。


古代 祐三 (こしろ・ゆうぞう)

(株)エインシャント 専務取締役
『カイジュウの島』 プロデューサー

1967年生まれ O型

■主な経歴

1986年 日本ファルコム株式会社 に入社、同社の PC 「イース」 「ソーサリアン」 などの音楽を手がけ、日本でもっとも早くゲームミュージック専門の作曲家として脚光を浴びた。
 その後フリーとなり、1990年には 株式会社エインシャント を設立、MD 「ベア・ナックル2」 「ストーリー オブ トア」 などコンシューマゲームの制作も開始。最新作である GC 「カイジュウの島」 でも音楽だけでなくゲーム全体のプロデューサーを務める。


ゲームをしていると自然に音楽のインスピレーションが生まれてくる

―― 子供の時からゲームが大好きだったそうですね。

古代■観光地に行くと必ずゲームセンターに入りびたっていました。
 インベーダー以前から現在に至るまでテレビゲームを追っかけています。僕の幼少時代はテレビゲームにハマッている子供は少なくて、むしろ僕が先導して友達をゲームセンターに連れて行ったくらいです。お年玉とか小遣いは全部ゲームに注ぎ込んでいました(苦笑)。

ゲームが好きでこの業界に入ったようなものですから、ハマッたゲームも数えきれません。一番長く遊んだのは 『ストリートファイター』 のシリーズで、98年頃までずーっとやっていました。基盤も全部持っています。

ジャンルとしては、シューティングやアクションが好きなんですね。長時間ゲームをするのは好きじゃなくて、その瞬間、瞬間に、ガッーと集中できるのが好き。それを長いスパン、遊ぶのがいいんです。最近ではPCの 『ハーフライフ』 というゲームを5年くらい遊んでいます。

―― 好きな音楽を教えてください。

古代■音楽だったらどんなジャンルも聴くんですが、小さな頃からずっと変わらずクラシックが一番好きです。とくにオーケストラ音楽ですね。
 好きな作曲家をひとり挙げろと言われると難しいんですが、好きだし尊敬しているのは ブラームス ですね。 ブルックナー も マーラー も リヒャルト・シュトラウス も好きですが、ブラームス はオーケストラに加えピアノの曲も好きなんですよ。





3歳でピアノを始めてから、バイオリンやチェロをやったり、8歳頃からは (*)久石 穣さん に師事して作曲の勉強をしたり……。音楽の勉強は小さい頃から、ほとんど生活の一部としてやってきました。

―― ゲームミュージックに興味を持つようになったのはいつからですか?


*) 久石 穣 (ひさいし・じょう)

映画やテレビCMの音楽を数多く手がける作曲家。代表作に 『風の谷のナウシカ』 『もののけ姫』 『HA-NA-BI』 など
古代■まだ “ゲームミュージック” なんて言葉がなかった時代です。
 ファミコンなんかが登場する前のゲームは本当に音がショボくて、ファミコンで遊んだことのある人だったら想像がつくかもしれないけど、あれよりもずっとずっとチープな音が流れていたんです。ビープ音だけとか……。

そういう時代に、僕はゲーム独特のシンプルなサウンドっていうものに興味を持つようになりました。ゲーム黎明期の ブロック崩し や インベーダー の音楽もすごく好きでした。テクノっぽい感じというか、シンプルな波形を持ったサウンドが大好きだったんです。
 ……ちなみに本格的にゲームミュージックにのめり込むきっかけになったのが、ナムコの 『ドルアーガの塔』、コナミの 『グラディウス』、セガの 『スペースハリアー』 の3本からですね。

―― ゲーム業界デビューのきっかけを教えてください。

古代■高校時代はビデオゲームの音楽のコピーをしていたんですが、卒業が近くなってきた夏休み頃からオリジナルを作りはじめたんです。そんな時たまたま雑誌で日本ファルコムの求人広告を見て、直接デモテープを持って行きました。
 ……結果、ほとんどの曲が採用となり、『ザナドゥ シナリオ2』 に使用されました。それが僕のゲーム業界デビュー作です。

―― ゲームの音楽をつくる時、大切にしているものを教えてください。

古代■ゲームをしていると自然に音楽のインスピレーションが生まれてくるんです。まず、リズムが浮かんできます。作曲はいつもキーボードです。で、コンピューターを立ち上げてシーケンサーがあれば、そこにバッーと打ち込んでつくってしまいます。

僕にとって “音の響き、きれいさ” だけは譲りたくない部分です。
音の重なりからくるハーモニー、それを一番大切にしています。

例えば、そのためにパソコンでは自作のドライバで音を出していましたし、効果音に関しても自作のエディタを使用して音を作り出していました。
 効果音は人によって様々なつくりかたがあると思いますが、僕の場合は音符を書くように音を並べて効果音をつくっていくんです。
「Early Collection 2nd / Yuzo Koshiro」


©古代祐三

「The Scheme SOUND TRACK」


©Ancient ©2002 BOTHTEC


―― (*)エインシャント を設立しようと思った理由は何ですか?

古代■セガの方に 「ゲームギアのゲームをつくれる会社を知らないか?」 と言われたことがきっかけです。
 当時はまだ音楽しかやってなかったんですが、僕もプログラマーやデザイナーなど知り合いが多くいたこともあり、それならば自分で会社を設立しようと思い立ち 1990年にエインシャントを設立しました。おかげさまで今年で14年目になります。

*) 株式会社エインシャント

代表作:
SFC 『アクトレイザー』 (グラフィック、サウンド)
MD 『ベア・ナックル2 死闘への鎮魂歌』
MD 『ストーリー オブ トア 〜光を継ぐ者』
AC/PS2 『湾岸ミッドナイト』 (サウンド)
など
ページ2へ進む今までの記事一覧