ハードの限界をものともしなかったのも『ガンスターヒーローズ』がメガドライバーのハートを鷲掴みにした理由のひとつでもありました。8Mbit [注1] という小さなROM容量とは思えないバラエティに富んだゲーム内容。ダイナミックかつ、滑らかに動きまくるボスキャラ。メガドライブの機能一覧を端から端までひっくり返してみても載っていない拡大縮小そして回転、すべてがちょっとした閃きと工夫とめんどっちい手間の積み重ねで、出来ています。
メガドライブに限らず当時のゲーム機には“ラスター割り込み”という機能がありました。TVの走査線にあわせて、ゲーム機もライン単位で画面を作っていたので、ラインを描き終わって次のラインを描き始めるまでの間にVDP [注2] への指示を差し替えたりできたのです。
『ガンスターヒーローズ』では、ライン単位で横方向にずらしてラスタースクロールを実現したり、2画面ある背景画面の表示の優先順位を入れ替える事で、沢山の絵が折り重なる奥行き感ある背景を表現したり、ライン単位で縦方向にスクロールさせて縦方向への拡大縮小を実現したり、メガドライブにあった縦方向に画面を分割スクロールする機能を組み合わせて回転を表現したりと、本当に多彩な画面効果を実現していきました。ここまでの説明が、そのほんの一部である程に。
ボスキャラの滑らかな動きも魅せ場のひとつです。沢山の動きをひとコマずつ絵を持っていたのでは、ROM容量がいくらあっても足りません。
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【注1:8Mbit】
プレイステーション2のメモリカード8MByteをBit換算にし直すと64Mbitになる。ガンスターヒーローズ(8Mbit)とダイナマイトへッディー(16Mbit)とエイリアンソルジャー(16Mbit)を全部納めてもお釣りがくる。
【注2:VDP】
ビデオディスプレイプロセッサ。画面を描く機能を備えたチップ。
縦の分割スクロールを利用して、ハードではサポートされていないオブジェクトや背景の回転処理を実現。
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